サーキット走行

【スクーターレース入門】クラスの種類や始め方・必要なものを徹底解説!

一見、レースに縁のなさそうな形をしているスクーター。

ミニバイクレースといえば、NSR50やNSF100、グロムなどの車両が思い浮かぶと思います。

当たり前かもしれませんが、ミニバイクレースに使われるバイクは「ミッション車」が多いんですよね。クラッチがあってギアチェンジをして…ミッション車の方がバイクを走らせている感覚を肌で感じられますから。

しかも「スクーター」と聞いてパッとイメージするのって、

  • 通勤・通学
  • お買い物

などのチョイ乗りではないでしょうか?

生活の足で乗るようなスクーターでレースなんてムリッ!

なんて思っていませんか?

しかしスクーターは、ミニバイクレースにおいて最高のスポーツバイクでもあるのです。

バイクにまたがる感覚は少ないかもしれませんが、スクーターは軽くて構造もシンプル、これってミニバイクレースにとても適しているんですよね。

それでいて速く走るためには頭も使わなければいけませんので、奥深いバイクでもあります。

そこで本記事では、スクーターレースの

  • レースで使われているバイク
  • クラスやカテゴリー
  • 必要なものや費用について
  • スクーターの走らせ方

など、これからスクーターレースを始める人に向け、入門書的な内容でご紹介しています!

スクーターレースをやってみたいと考えている人や、興味があるからちょっとスクーターレースの世界を知ってみたい人は、ぜひ読み進めていってください!

スクーターレースとは

スクーターレース

引用

まずはスクーターレースについて知ることから始めますね。

スクーターレースは文字通り、スクーターでレースするもの。通常であれば生活の足として使用することの多いスクーターを使い、サーキットで速さを競います。

スクーターレースの動画


レーサーバイクのように、レース専用車両というものはなく、基本的には市販されているスクーターを自分たちでレギュレーションに合うように改造して走らせます。そのためカスタムする楽しさもあります。

また、スクーターレースには次のような魅力があります。

  1. 車両が安くて始めやすい
  2. 構造がシンプルでライディングに集中できる
  3. 速く走らせるための基本テクニックが身に付く

原付バイクとも言われるスクーターは、他のバイクと比べて非常に安価で手に入りやすい特徴があります。

とは言ったものの、少しでも速く走れるようにエンジンをメンテナンスしたり、人によっては減量して軽量化したりと、本格的なロードレースのように突き詰めている人たちもいるほど奥が深いレースでもあります。

もう少し詳しく見ていきましょう。

①車体が安くて始めやすい

ミニバイクレースで使われる車両の多くは、2ストロークエンジンのNSR50や、HRCから販売されているレース専用に開発されたGROMNSF100などです。

しかしこれらの車両価格がまた高いんです…

グロムNSF100NSR50
グロムNSF100
383,900円(税込)506,000円(税込)10〜50万円※中古相場

新車となると、車両本体だけで40〜50万円ほどかかってくるんですよね…NSR50も今やプレミアが付いていますので、程度のいいものを探すと新車以上の値段となることもあります。

そこからさらに速く走ろうと思うと、車両を仕上げるのにまた十万円単位でかかってきます…こうなると、もうある程度お金に余裕がある人でなければ続けることすら困難に。

一方スクーターは、家にあるお買い物用のスクーターでも即レース参戦可能なんですよね。

新しく買おうとしてもほんの数万円程度で車両が手に入ってしまうのがスクーターの魅力です。

しかも原付バイクは市場に出回っている台数も非常に多いため、中古であれば車体も部品も格安で手に入るのです。

しかも一切改造せずノーマルのまま参戦可能なクラスもあるので、ミニバイクと比べてもさらにレースを始めるハードルが低いのです。

②構造がシンプルでライディングに集中できる

スクーターはギアチェンジがないので、ライディングに集中できるのも大きな特徴です。

スクーターはご存知の通り、スロットルを開けさえすれば前に進みます。

ミッション車のようなブリッピングやシフトミス、半クラッチ(半クラ)などとは無縁の乗りものなので、その分ブレーキングや加速に集中することができるのです。

ブレーキング加速は他のカテゴリーのバイクを走らせるのにも通じる部分ですので、まずスクーターでしっかり練習しておけば、ステップアップした際に速く走れることも多いのです。

③速く走らせるための基本テクニックが身に付く

スクーターはバイクを速く走らせるための基礎テクニックが学べます。

排気量も小さくミッションもないスクーター。おまけにタンクがないのでニーグリップもできません。

エンジンパワーもないので、ミスするとパワーのごまかしが通じないんですよね。

そのためスクーターレースではいかに遅くて曲げずらいバイクを速く走らせるかという部分と常に向き合うことになります。

となると、速く乗りこなすためには考えて走らなければなりません。これってバイクレースをする上で最も大事なことなんですよね。

これらの特徴を改めて見てみると、スクーターレースはリターンライダーにはもちろん、初心者ライダーにもおすすめできる一番身近なバイクレースであるとも言えます。

ほかのミニバイクレースでも一番初期投資も少なく済み、テクニック次第でどんどん速くなれますからね。

スクーターレースのクラス

スクーターレース

次に、スクーターレースのクラスについてご紹介します。スクーターレースには、排気量や改造範囲で細かくクラス分けが設定されています。

ちょっと細かすぎてわかりづらいかもしれませんが、主にその排気量や改造範囲を数字や文字で表しています。

  • FNクラス
  • SN50クラス
  • FN4クラス(ノーマルクラス)
  • FPクラス
  • FP4-50クラス
  • FP4-50クラス
  • FP4-STクラス
  • OPクラス

こうして見ると、非常に細かく分かれているのがわかりますね。もう少し詳しく見ていきましょう。

FNクラス

FNクラスは基本的にフルノーマルのクラスとなります。

エンジンやマフラーなどのパワーが上がるようなパーツの改造・変更が禁止ですが、駆動系(ベルト、プーリー、プーリーフェイス、クラッチ周り)に限り、純正品もしくは純正品流用が認められています。

そのほかに、社外パーツの使用OKの改造箇所は次の通りとなります。

  • ウエイトローラー
  • キャブレターなどの燃調パーツ
  • タイヤ(IRCやブリジストンが多い)
  • リアサスペンション
  • ブレーキパッド
  • プラグ
  • プラグコード
  • CDI(キャパシター・ディスチャージド・イグニッションの略で、電子制御式点火装置のこと)

FNクラスは変更箇所が少なくスクーターレースを始めやすいクラスとも言えますね。

SN50クラス

SN50クラスも基本的にフルノーマルのクラスとなります。主な参加車両は4ストロークエンジンのバイクで、ホンダの「ディオ Z4」や、ヤマハの「ジョグ ZR」「レッツ4」が多くなっています。

このクラスは部品の変更箇所も少なく、いじれるのは以下の4項目くらいなんですよね。

  • ブレーキパッド(純正品でも可)
  • リアサスペンション
  • タイヤ
  • 駆動系セッティング

そのためSN50クラスは部品の変更箇所が少なく車体価格も比較的安価ですので、1番スクーターレースを始めやすいクラスとも言えるでしょう。

FN4クラス(ノーマルクラス)

FN4クラスは、スズキ「アドレスV125」などの4ストローク125ccまでのスクーターで行われるクラスとなります。

変更箇所は、

  • ブレーキパッド(純正でも良い)
  • リアサスペンション
  • タイヤ(IRCやブリジストンが多い)
  • 駆動系セッティング

などで、こちらもフルノーマルのクラスと言えますね。

ただし、このクラスのバイクは125ccのエンジンと比較的大きな排気量であるため、十分なパワーがあります。

そのため低排気量のバイクに比べてエンジンをガンガン回さなくてもいいので、壊れにくくコストパフォーマンスも良いとも考えられます。

一度始めたら気軽に続けられるクラスとも言えますね。

FPクラス

FPクラスは、2ストロークエンジンの「ジョグ」や「ディオ」など、2スト50ccスクーターにチャンバーを入れ、エンジンパワーをアップさせた準改造車両のことを指します。

「2ストスクーターにチャンバーを入れるなんて、うるさくなるだけじゃないの?」

そう思われる方もいるかもしれませんが、近年のFPクラスはFN4クラスと混走することが多くなっています。

どういうことかというと、排気量が50ccと言えどFPクラスの車両は、ハイパワーな2ストロークエンジンを搭載していますので、FN4クラスの車両に匹敵する速さがあるのです。

実際混走するとFPクラスの車両が優勝することの方が多いんですよね。

FP4-50クラス

SN50クラスで使用される車両がメインで、改造範囲の幅が広がっているクラスです。現在ではヤマハの車両(ジョグ等)が中心となっています。

駆動系(ベルト、プーリー、プーリーフェイス、クラッチ周り)部品に限り、純正品もしくは純正品流用のみOKとなっています。

また、社外品OKの改造箇所は、以下の通りとなっています。

  • マフラー(ウインドジャマーズ、ウィルズウィン等)
  • タイヤ(IRCやブリジストンが多い)
  • リアサスペンション
  • ブレーキパッド(純正品でも可)
  • サブコン(燃調調整装置)
  • ウエイトローラー

準改造のクラスですが、ベース車両が4ストロークの50ccスクーターですので、速度域も低く、安全に低コストでレースを楽しむことができます。

FP4-STクラス

4スト125ccの準改造クラスとなります。日本はもちろん、スクーターレース大国である台湾でも人気のあるクラスです。

駆動系(ベルト、プーリー、プーリーフェイス、クラッチ周り)は純正品もしくは純正品流用のみ改造OKでそれ以外に社外品OKの改造箇所は、

  • マフラー(ウィルズウイン、バル、リアライズ等)
  • ECU(燃調システム関係)
  • リアサスペンション
  • ウエイトローラー、シムワッシャー

となっています。

FP4-STの特徴は何と言っても、タイヤが12インチであるということ。

NSF100やNSR50といった人気カテゴリーと同じサイズであるため、タイヤの選択肢が多く、高レベルなコーナリングできます。

スクータークラスで最も人気のあるクラスのひとつで、台数も多く、車体サイズもそれなりにあるため、毎戦大迫力なレース展開が繰り広げられます。

OPクラス

OP(オープン)クラスは、エンジンの種類によって以下の2種類に分類されます。

FSクラス・・・2ストロークエンジン

上限の排気量は140cc未満で、水冷化されることが多い。ベースのフレームから改造することも多いですが、完全オリジナルでフレームを一から作ってしまう人もいます。

改造クラス(OPENクラス)・・・4ストロークエンジン

上限の排気量182ccまでではありますが、オリジナルのフレームでオリジナルの原型をとどめていることが条件となります。

両クラス共に基本的に車両の改造が無制限なクラスになりますので、規格外な速さを見せることもあります。

ただし、スクーターのオープンクラスは改造費がかかるため人口が少なくなってきているのも事実。レースシーンではNSR50やNSF100のオープン車両と混走になることが多いです。

スピードもパワー桁違いなので、ライダーの腕が試されます。お金もメンテナンス時間も莫大にかかるので、上級者向けのクラスとも言えますね。

スクーターレースに使われるバイク

スクーターレース

引用

スクーターレースで使われているバイクは、街乗り用の市販車がベースとなっています。

そのため、「街中を走っているバイクがサーキットを走ると意外と速い!?」といった現象が起こることもあります。

代表的なバイクは、次の3種類となります。

  • ホンダ Dio(ディオ)
  • ヤマハ Jog(ジョグ)
  • ヤマハ シグナスX

もちろんこれ以外にもたくさん存在します。

【ミニバイク】スクーターレースにおすすめのバイク7選!スクーターレースはレース用車両というものがありませんので、市販されているバイクを自分たちでレギュレーションに合うようにセッティングしてい...

また、レースで使用されるバイクたちは、WEBでの情報量が多く、比較的部品も手に入れやすいという特徴がありますので、スクーターレースを始めやすい車両なのです。

スクーターレースに必要なバイクの改造箇所

スクーターレース

引用

ここまで参加クラスやそれに対する車種などご紹介してきました。

次に知っておかなければいけないのが、スクーターレースを出るために最低限必要な改造箇所。レギュレーションについて少し解説していきます。

まずはナンバー・灯火類・スタンドを外して安全に走れるようにする

サーキットでのスポーツ走行は転倒がつきもの。

転倒時のリスク軽減や他のライダーを巻き込むような二次災害を防ぐためには、突起物や壊れやすいものは出来るだけ除外しなければなりません。

そこでサーキット走行では、次の3つを取り外しておきましょう。

  • ナンバープレート
  • 灯火類
  • センタースタンド・サイドスタンド

ナンバープレート

ナンバープレートは公道を走るためには必ず必要ですが、サーキットでは必要ありません。

しかもナンバープレートは金属でできているので、転倒して身体に当たると非常に危険。また、走行中に割れたり外れて後続車に当たると事故にもつながりますので、必ず取り外しましょう。

灯火類

灯火類は、ヘッドライトやテールライト、ウインカーなどのことを言います。これらの部品にはそれぞれカバーが付いており、多くはプラスチック系の素材やガラス系のカバーが付いています。

となると、これらは転倒した際、ほとんどの確率で割れてしまいます。

割れた破片がコース上に散乱すると、後続車が踏んでしまい転倒してしまう多重事故にも繋がりかねません。

レンズやカバーに直接テープを貼り保護する方法もありますが、アスファルトの地面は硬いため、結局のところ割れたり削れたりするのです。

そのため本格的にサーキット走行をするのであれば、灯火類はバイクから取り外すようにしましょう。

センタースタンド・サイドスタンド

スクーターは、本来街乗りメインで設計されているバイクですので、センタースタンドやサイドスタンドが付いています。

しかしサーキットで思いっきりスポーツ走行するのであればすぐに取り外してしまいましょう。本来便利なスタンドがサーキットでのスポーツ走行では必要なくなるのです。

なぜならバンク中(コーナリング中)にスタンドが地面に擦ってしまい、速く走るどころか転倒に繋がるかもしれないから。

また、スタンドを外さないで走ると、走行中も常に気になってしまいますので、走りに集中できないでしょう。そのためスタンド類は外してサーキットを走りましょう。

ハイグリップタイヤに交換する

速く・安全にスポーツ走行をするためには、タイヤの性能が大きく関係してきます。必ずハイグリップタイヤに変えないと走れないとうい訳ではありませんが、

  • 早く
  • 安全に
  • 確実に

上達したいのであれば、使った方が良いでしょう。

また、タイヤをケチると転倒によるケガのリスクが増え、本来のスピード域で練習できなくなります。

手っ取り早く上手くなりたいのであれば、お金の使いどころを考える必要があります。お金に余裕がないと一見余分な出費とも考えられるかもしれません。

そう考えると、ハイグリップタイヤに交換するのは、非常に効率が良い練習方法でもあるのです。

スクーターレースを始めるのに必要な費用

スクーターレースを始めるにあたり、一番気になるのは、費用はいくらかかるのか?ということではないでしょうか?

参加するクラスや使用する車両にもよりますが、平均的な費用の相場は、次のようになります。

1日練習走行する場合

ガソリン15リッター2,250円(リッター150円で計算)
オイル1,000〜円(2スト車両や4スト車両でオイル交換頻度は変わります)
走行料金3,000〜円(サーキット場や走行時間、会員の有無によって変わります)

+レースに参戦する場合

レースエントリー代5000円〜
タイヤ代10,000円〜

レースの種類や参加クラスによって変わります。ダブルエントリーや耐久レースなど、参加者同士で割り勘すると、もっと安くできることも考えられます。

装備品からそろえる場合:15万円〜

必須品

  • ヘルメット・・・30,000万円〜
  • レーシングスーツ・・・100,000万円〜
  • レーシンググローブ・・・10,000万円〜
  • レーシングブーツ・・・・20,000万円〜

あると良いもの

  • インナースーツ・・・5,000円〜
  • ヘルメットリムーバー・・・1,000円〜
  • 脊椎プロテクター・・・20,000円〜
  • 胸部プロテクター・・・10,000円〜
  • エアバッグベスト・・・30,000円〜

全部合わせると・・・226,000〜

ヘルメット

オージーケーカブト(OGK KABUTO)バイクヘルメット フルフェイス RT-33 ブラックメタリック M (57-58cm)

ヘルメットはメーカーやグレードによってピンからキリまでありますが、必ずフルフェイスヘルメットを選んでください。

中でもおすすめのヘルメットはOGKカブトのRT-33シリーズ。

数多くのフルフェイスの中でもかなり軽量でありながら、全日本や世界選手権を闘うライダーも使用するほどしっかりした作りとなっています。

しかもこのクオリティで値段が3万円〜とかなりリーズナブルな価格ですので、コスパ最強なヘルメットとしてミニバイクユーザーからも高い人気があるのです。

レーシングスーツ

コミネ KOMINE バイク レーシング レザー スーツ プロテクター 革 本革 つなぎ レース Red/Black M S-52 02-052

レースを始める時に一番費用がかかる装備品がレーシングスーツ。上下一体型ですので、革ツナギとも言われています。

安全性はもちろんのこと、デザインによっては自分を大きく表現できるため、かっこいいものを選びたいですね!

レーシングスーツ(革ツナギ)のメーカーは国内にも数多くありますが、特にスクーターレースで人気(ユーザーが多い)のメーカーは、

となります。

もちろん人それぞれ好みがありますので、デザインで良いと思ったものを選ぶのも良いかもしれません。

正直なところ国内メーカーであれば、どのメーカーのものでも安全な作りとなっていますので、デザインから選ぶのもありなんですよね。

レーシンググローブ

RSタイチ(アールエスタイチ)バイクグローブ レッド (L) GP-EVO レーシンググローブ NXT054

スクーターのライディングは他のバイクと比べて特殊なんですよね。

コーナーでは身体を車体から大きく放り出し、ハンドルにぶら下がっているようなイメージで乗ります。そのため求められる手首の可動域は他のバイクより大きくなるのです。

スクーターレースをする場合、手首をスムーズに動かせるよう、比較的柔らかいレーシンググローブが求められるのです。

現存するレーシンググローブであれば、どのメーカーも操作性を考えられて作られていますが、中でもスクーターレースに合っていると感じるのが、ジニアスのグローブ

他のメーカーと違い、硬いプロテクター使われていませんので、手首の自由度が桁違いです。

しかもプロテクターの代わりに頑丈な革で覆われていますので、破れることもありません。

それ以外にも、RSタイチから販売されているGP-EVOは、操作性も抜群でプロテクション効果も非常に高くなっています。

レーシングブーツ

W2レーシングブーツ ミサノマグネシウム(ホワイト) 28.5cm

レーシンググローブと同じく、レーシングブーツもある程度の柔軟性が求められます。

本来レーシングブーツの役割は、転倒などから起こる足の捻挫や骨折、車体との挟み込みから守ること。そのため頑丈さ、硬さが必要ですが、スクーターは柔らかさ(可動域の自由度)も非常に大事です。

基本的なスクーターのライディングスタイルは、足の置き場所は、本来後ろの座席の人が足を置くステップの位置にあります。そして足首で踏ん張るような形となるのです。

足首の可動域に自由度がないと、足が曲がらず思うようなホールドができず、コーナリングも難しくなってしまいます。

そこでおすすめのブーツがW2ブーツ。W2ブーツはデザインもシンプルで価格も比較的安価。そして足首の自由度も高いので、スクーターレースに最適なんですよね。

実際スクーターレーサーはW2ユーザーが多いのも事実です。

また、比較的値段が安くしっかりしているブーツが、XPDから販売しているXP-3Sとなります。

インナースーツ

RSタイチ(アールエスタイチ) TAICHIインナースーツ ブラック (L) NXU915

ここからはあると便利な装備品をご紹介します。インナースーツがあると、レーシングスーツをスムーズに切ることができます。

また、夏場は速乾性の素材、冬場は防寒素材のものを選べば、かなり快適に過ごすことができます。

夏場はスポーツ用品店に売っているインナー。冬場はヒートテックでも良いでしょう。

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RSタイチ (RSTAICHI)
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ヘルメットリムーバー

RSタイチ(アールエスタイチ)ヘルメット緊急脱帽システム ヘルメットリムーバー RSC001

ヘルメットリムーバーは転倒して意識がなくなった時に、救護者がヘルメットを脱がしやすくするためのものです。

それ以外にも、ヘルメットをかぶる時に顔が擦れるのも防いでくれますので、顔が痛くなりません。

脊椎プロテクター

RSタイチ(アールエスタイチ)バイク用プロテクター イエロー フレックス バックプロテクター NXV309

転倒した時に背中を守ってくれるのが脊椎プロテクターです。メーカーによってサイズや暑さが違いますので、サイズが合わないと動きが制限されてしまいます。

RSタイチから販売されてている脊椎パッドは、比較的薄型で強度もありますのでおすすめです。全日本ライダーも着用しています。

胸部プロテクター

RSタイチ(アールエスタイチ)バイク用プロテクター (4mm) フレックス チェストプロテクター NXV011

簡単にいうと、脊椎パッドの胸用ということになります。胸部プロテクターもサイズによっては着用すると動きにくくなることもありますので選ぶ時は注意が必要です。

おすすめは、やはりRSタイチから販売されているものです。4mmと8mmの2タイプから選ぶことができますが、スクーターレースであれば4mmタイプで十分でしょう。

エアバッグベスト

hit-air(無限電光)エアーバッグベストブラックM RS-1

最近普及が進んでいるのが、無限電光から販売されているエアバッグベストです。

エアバッグ本体から伸びているコードをバイクに取り付け、転倒時に身体がバイクから離れるとベストが膨らむ仕組みとなっています。

エアバッグが開いてもボンベを交換すれば再利用できますので非常に便利な安全装備ですね。

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スクーターレースを始めるために必要なもの【バイクの整備編】

装備品を揃えたら、サーキットを走れるようにバイクを整備しなければいけません。

ここでは、整備に必要なものをご紹介していきます。

整備に必要な工具

高儀 GISUKE 工具セット 70pcs H-700

サーキットでもバイクの整備ができるようにするためには、整備用の工具が必要です。

必要なものをその都度揃えれば良いとも考えられるのですが、持ち運びしやすい工具箱に入っているセットのものを購入してしまうのが一番手っ取り早いですね。

プーリーホルダーもあると良い

一般的な整備工具の他に揃えておきたいのが、スクーター特有の専用工具とも言えるプーリーホルダーでしょう。

この工具はプーリーフェイスやクラッチアウターを外す際に固定するために使います。

インパクトドライバー

インパクトドライバーがあれば、プーリーホルダーは必要ありません。手でプーリーなど持ちながらインパクトでナットを外せばすぐに取れます。

また、インパクトドライバーがあれば作業効率も格段に上がるので、サーキットの練習走行でセッティング作業がはかどります。

しかし自宅などで整備する時は、しっかりプーリーホルダーでナットを締め込むことをおすすめします。インパクトドライバーだと慣れないと部品を傷めてしまう確率がありますからね。

タイヤウォーマー

MOTO4Uタイヤウォーマータイヤウォーマーセットレーシングオートバイスーパーバイクタイヤヒーターカバーフロント120リア180/190/200 110V&USAプラグ付き シングル温度 黒い

ハイグリップタイヤをスカっているのであれば、タイヤウォーマーを使ってあらかじめタイヤを作動温度まで温めておきましょう。

タイヤウォーマーのサイズは基本的に12インチ〜しかありませんので、ミニバイク用を購入しておくと良いでしょう。

電源確保のためにポータブル発電機も購入しておくことをおすすめします。

 

スクーターを運ぶのにトランスポーター(トランポ)もあると便利

トランポ

保安部品を外したスクーターは公道を走ることができませんので、自走でサーキットで行くのは厳しいでしょう。

そのためレース車両を運ぶためのトランスポーター(略してトランポ)が必要になります。

  • 最低限動けば良い・・・スズキエブリィなどの軽バン
  • 本格的にレース参戦する・・・ホンダステップワゴンなどのミニバン
  • 県外のサーキット遠征など本格的に始める・・・トヨタハイエースなどのバン

正直なところ、バイクレースをする上でハイエースやキャラバンは最強のトランポです。十分な積載性能に合わせて、人も多く載せられますからね。

ただし予算もライフスタイルもそれぞれですので、候補の車の中から自分にあった1台を探すことをおすすめします。

スクーターでのコースの走り方・乗り方をちょっと解説

スクーターの走り方

引用

スクーターは他のバイクと違ってニーグリップができないなど、かなり特殊なバイクでもあるのです。

ここでは、スクーターでサーキットを走るためのライテクを少し解説していきますね。

ストレート

ストレートは基本、体を前の方に伏せます。スクーターは他のバイクと比べ、そのままの状態だと、上半身がまっすぐ立ってしまいます。そうなると、空気抵抗が多くなって速く走れません。

また、上半身が立っていると街乗りのようなライディング姿勢になるため、やる気がない人のように見えることも。

サーキット走行でタイムを縮めるにはまずアクセルを開けることサーキット走行でに慣れてきてタイムを測るようになると、最初は走れば走るほどタイムアップし、サーキット走行が楽しいと思います。 でも...

コーナー

サーキット走行では、コーナーを攻める時に、気合と根性で突っ込む人も少なくありません。あながち間違いではないのですが、リスクがあるためあまりおすすめしません。

スクーターでのコーナリングのキモは、コーナー1つ1つ考えて攻略すること。

スクーターの場合、アクセルでバイクを曲げるというイメージです。

「いや、ハンドルや荷重移動じゃないの?」と思うかもしれませんが、実はスクーター、アクセル操作で曲げているのです。二次旋回とも言えますね。

スクーターを横から見るとわかるのですが、スクーターは重量物がリアに集中しているため、しっかりバンクさせた後にアクセルを開けるとグリップっしながらぐるっと向きを変えるのです。

そして、

  • コーナリング中いかに高い速度とエンジン回転数をキープした状態(パワーバンドをキープした状態)加速できるか
  • コーナー出口に対し、いかに早く車体をまっすぐにして加速するか

も非常に重要です。

少し言い方を変えると「どこでスロットル全開にできるのか考えてブレーキングし、コーナーを脱出するか考えて走る」とも言えます。

初めのうちは、コーナー進入と同時にアクセルを開けるということに対し、恐怖を感じると思いますが、少しずつトライしながら繰り返すことで次第にできるようになってきます。

ブレーキング

ブレーキングでのスクーターの最大の特徴はリアブレーキが左のレバーであるということです。
そのためコーナー進入のブレーキングもかなり特徴的。

  1. しっかり減速する(これはどのバイクにも当てはまります)
  2. 減速後、コーナー進入と同時にもうアクセル全開
  3. コーナリング中はスロットル全開のままリアブレーキを引きずるように速度を調節してバイクを曲げる

スクーターは1度速度が落ちると、自分の意思でシフトダウンができず、鋭い再加速ができないのです。

そのためコーナーに侵入したらアクセルは開けたまま、左手のリアブレーキで車速をコントロールします。

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スクーターレースをする上で覚えておきたい整備

スクーターでサーキットを走り終わった時に覚えておきたい整備についてご紹介します。

特に一番気をつけないといけない部分が駆動系。

  • プーリー、プーリーフェイスの表面清掃
  • ウエイトローラー清掃、片べりや偏磨耗のチェック
  • ベルト汚れやひび割れ、伸びのチェック
  • クラッチシューの当たりチェック
  • 駆動系ケース内のダスト清掃

これらの整備を怠ると、スピードに大きな影響を与えます。

オイル管理などもありますが、最低限上記の駆動系整備を怠ると、どんなにセッティングしても外れてしまい、結果的に何をやっても遅くなるという悪循環になります。

スクーターレースではCBS(コンビブレーキシステム)は解除している

スクーターと言えばフロントブレーキをかけると補助的にリアブレーキもかかるCBS(コンビブレーキシステム)が付いていますが、スクーターレースではCBSを解除して乗っています。

状況によっては意図的にフロントサスペンションを沈めるためにフロントブレーキだけを使いたいシチュエーションも出てきます。そんな時にリアブレーキも作動すると、スピードを乗せることができません。

元々安全装置として開発されたCBSは、レースでは反対に足手まといになってしまうんですよね。

スクーターレースでケガをした時に備えて保険にも入っておく

スクーターレースだけではなく、レースをしている人全員に言えることですが、バイクレースでは危険が付き物ですので、万が一の備えも大事なんですよね。

そのたレースをする期間だけ掛け捨ての傷害保険に入っておくのも検討しましょう。

筆者がレース活動をしていたときは、傷害保険と県民共済・国民共済と、3つぐらい入っていました。

スクーターレースで有名なレースを紹介

最後に、全国各地で開かれるスクーターレースイベントの中でも最も有名なものをご紹介していきます。

まるち杯

まるち杯

引用

ミニバイクレーサーで知らない人はいないのではないでしょうか?

まるち杯は、ミニバイク雑誌「モトチャンプ」が主催するレースで、日本で開催されるミニバイクレースで最も格式が高い全国大会レースです。最近は「モトチャンプ杯」と呼ばれているようですね。

日本中のミニバイクレーサーが集まってきます。

世界で活躍するライダーの中にも、まるち杯出身であるという人も何人かいます。

近スポ杯

近スポ杯

引用

京都府綴喜郡宇治田原町の山の上にある、近畿スポーツランドで開催されるシリーズ戦が近スポ杯です。

天空のサーキットとも言われる近畿スポーツランドはコースレイアウトもテクニカルで、ライダーの腕が試されるコースでもあります。

また、近スポ杯の最終戦には現役の全日本ライダーが参戦していたりするのも珍しくありません。

楽しい雰囲気の中にも、ミニバイクのトップライダーと現役全日本ライダーのガチンコ勝負が見られたりするので、かなり刺激的なレーイベントでもあります。

ワコーズ杯

ワコーズ杯

引用

エンジンオイルやパーツクリーナーなどのケミカル類の製造メーカーワコーズが主宰するレースイベントです。ワコーズ杯の会場も近畿スポーツランドとなっています。

このレースはどちらかと言うとエンジョイレースですので、上級者はもちろん、初心者にも参加しやすいクラスが用意されています。レースデビューをする人にもおすすめのレースですね。

まとめ

ミニバイクレースの分類の一つでもあるスクーターレースの魅力は、手軽さにあります。

特別な車両や特別なカスタムをせず、最低限の準備をするだけで即レース参戦可能なのです。

また、手軽さだけでなく、駆動系セッティングの奥深さやライテクの基礎も身に付けられるため、これからステップアップをしたいと考えている人にもおすすめのカテゴリーでもあるのです。

そのため少しでも興味があれば、今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ一歩踏み出してみてください。

もちろんレースは見るだけでも面白いので、まずは近くのサーキットに見学に行ってみるのも良いでしょう!

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