サーキットでタイヤウォーマーを使おうと思うと、発電機の存在が欠かせないんですよね。
特に鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎなど大きなサーキットであれば、電源も完備されていますが、小さなサーキットでは必ず必要となります。
また、レースではグリッド上でタイヤを温めるために必要であったり、遠征先での電源確保のために必要であったりと、何かと重宝します。
しかし、いざ発電機を調べてみると、大きさも出力もバラバラ。どれを買えば良いのかわからない人も多いはずです。
本記事では、サーキットの現場で重宝する発電機の選び方やおすすめの発電機をご紹介します。
バイクレースでは電気が欠かせないため発電機が必須
バイクレースでは多くの電力を使用します。例えば、
- タイヤウォーマーを使う
- 走行データを解析するためにパソコンを使う
- エンジンを冷ますために扇風機を使う
- 温かいものを飲むために電子ケトルを使う
などが考えられます。
特に地方のサーキットや、ミニバイクサーキットではアウトドアに近い条件となりますので、発電機の存在が欠かせません。
また、大きなサーキットでも参加人数が多ければ電源の取り合いになることも少なくありませんので、やはり発電機は持参する方が良いでしょう。
中国メーカーか国内メーカーかは「使う頻度」によって決める方がいい
発電機は中国メーカーから販売されているものと、国内メーカーから販売されいてるものがあります。
もちろん国内メーカーの方が良いに決まっていると思うかもしれませんが、使う頻度によって決めるのが良いとも考えられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
中国メーカーの発電機
- 価格が圧倒的に安い
- 保証も1年くらい付いている
- さすがに使ってすぐに壊れるという事はない
- 出力は弱め
まずは価格面で圧倒的に安いんですよね。900Wの出力のものだと35,288円(Amazon)で買えます。
もしこのクラスの国内メーカー品だと、軽く5万円以上はします。中国産といっても1年保証は付いている製品が多くなったので、万一何かあったときでも安心です。
ただし、同クラスの国内品と比べるとカタログ出力は同じでも、中国メーカーの方が若干パワーが落ちることが多いため、容量一杯使おうと考えると不利かもしれません。
ただし最低限の使用条件であれば、コスパに優れたものであることには違いありませんので、全然ありでしょう。
国内メーカーの発電機
- 作りが丈夫でエンジンもかかりやすい
- 容量一杯まで使ってもきちんと作動する
- 価格が高め
ホンダやヤマハなどの国内メーカーから販売されている発電機は壊れにくく、エンジンもかかりやすいと言えるでしょう。
また、容量一杯使ってもしっかり稼働するため、一度にたくさんの電気を使いたい人におすすめできます。
販売価格は高めであるのが唯一のデメリットでもありますが、製品自体に信頼性がありますので、レース以外のアウトドアや緊急時の避難用としても役立つでしょう。
発電機を安く買いたいからといって中古で購入するのはやめておいた方がいい
1台で数万円から十数万円ほどする発電機を少しでも安く購入しようと考えた時に、中古で購入しようと考えるかもしれません。
しかし発電機の中古品は当たり外れが大きいので、あまりおすすめできません。
なぜなら基本的に発電機が故障するといきなりエンジンが掛からなくなるというわけではなく、徐々に調子が悪くなってくることが多いからです。
「中古品として出品されるものの中には調子が悪くなってきたけど、まだエンジン動くから使えるだろう」と判断して売りに出されているものもあるのです。
そのためメルカリやヤフオクなどで中古販売相場よりも安く出品されているものでも、掘り出し物というわけではなく、訳あり品と思っておいた方が良いでしょう。
いざ使おうとした時にタイヤウォーマーが暖めなくなるなんてことが起こると、レースが台無しになってしまうかもしれませんからね。
本格的にバイクレースを考えているのであれば、発電機は新品を使うことをおすすめします。
発電機を安く買いたいのなら【OEM品】を買うのもあり
先ほど中古品はやめておいた方が良いという話をしましたが、それでも値段を抑えたいのであれば、OEM品を購入するという選択があります。
オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリング(Original Equipment Manufacturing)の略語で、他社メーカーで製造されているものを自社ブランド品として販売された製品のことを言います。
OEMは自社で販売したいと思った商品でも低い製造コストで販売できる利点があります。ちょっと前では車でもよくOEM供給されたものが販売されていました。
発電機で言うと、例えば1600Wクラスの発電機を製造しているヤマハからOEM供給されたメーカーはたくさんあります。
ヤマハ | シンダイワ | ヤンマー | マキタ | |
型式 | EF1600His | IEG1600MY | G1600iS2 | EG1600IS |
価格(Amazon) | 115,544円 | 110,000円 | 186,400円 | 165,556円 |
バイクレースで使える発電機の選び方
発電機選びで重要なポイントは、以下の5つが考えられます。
- 出力(消費電力)
- 差込口の数
- 持ち運びのしやすさ
- 水に濡れても安全かどうか
- インバーター発電機かどうか
一つずつ詳しく見ていきましょう。
①出力(消費電力)
タイヤウォーマーの消費電力は、前後合わせて大体700〜850Wくらいですので、最低でも1セットの発電機を使用するためには900Wクラスの発電機が必要となります。
しかし、それだとタイヤウォーマー1つがギリギリ作動する出力でもありますので、もし他に電力が必要になった場合、融通が効かない恐れがあります。
家電製品の中には、起動電力と言って、起動時に通常消費電力の1.1〜5倍ほどの電力が必要なものもあります。
そのためタイヤウォーマー意外にも電気の使用を考えている人は、ワンランク上の1600Wクラスを購入することをおすすめします。
また、タイヤウォーマーを2セット使いたいと人であれば、さらにワンランク上の2000Wクラスの発電機が必要となるでしょう。
しかしこのクラスになるとかなり重くなるため、持ち運びが大変です。そのため使うシチュエーションによっては1600Wクラスを2個用意しておいた方がいいかもしれません。
発電機によってWで表示されていたり、kVAで表示されていたりします。
基本的にW=V×Aとなり、kは1000倍を表していますので、例えば0.9kVAであれば900Wとなります。
②差込口の数
タイヤウォーマーは基本的に前後分かれていますので、コンセントの差込口の数が最低でも2カ所必要です。
もちろん「たこ足配線」を使って分割もできますが、購入時の確認を忘れて「使おうと思ったら足りなかった…」なんてことがないよう、前もって確認しておきましょう。
③持ち運びのしやすさ
グリッドに持ち運んだり、屋外で使ったりする発電機は、持ち運びのしやすさも重要なポイントです。
持ち手がしっかりしているものや、キャスターがついているものを選ぶと良いでしょう。
④水に濡れても安全かどうか
屋外で使う発電機は、ある程度雨に濡れても大丈夫かどうか確認しておくのは非常に重要です。
かといって完全に防水機能が付いている発電機はなかなかありませんので、多少雨に打たれても問題ないレベルで大丈夫です。
⑤インバータ発電機かどうか
パソコンやマイコン内臓型の電子機器を正しく起動させるには、周波数や電圧の変動が少ない電気(交流)が必要となります。
しかし通常発電された電気は直流で非常に不安定ですので、インバータという装置を使って交流に変換してあげる必要があるのです。
インバーターが内蔵されている発電機のことをインバータ発電機と言います。
インバータ発電機があれば、変電機を使わなくてもそのまま電機機器を使うことができますので非常に便利。
最近販売されている発電機のほとんどはインバータ付きの発電機ですが、値段が安いものの中にはインバータが付いていないものもありますので、確認しておく必要があります。
バイクレースでも安全に使えるおすすめの発電機5選
先ほどご紹介した発電機の選び方の条件を踏まえて、おすすめできる発電機を厳選してみました。
- ヤマハ 防音型インバータ発電機 EF9HiS
- ホンダ エネポ EU9iGB
- 新ダイワ インバータ発電機 IEG1600M-Y/M
- ホンダ インバーター発電機 EU18i
- 工進 インバーター発電機 GV-28i
容量や各メーカーそれぞれ違い、特徴も様々ですので、一つずつ詳しくご紹介していきます。
さらに実際に筆者や知り合いがレース現場で使っていたものばかりですので、発電機選びに迷っていたら、この中から選んでみてください。
静粛性に優れた定番商品!【ヤマハ 防音型インバータ発電機 EF9HiS】
小型発電機の定番商品と言っても過言でないほど優れた発電機で、本体の軽さはもちろんのこと、静粛性が非常に優れています。
出力は0.9kVAと小さいため、タイヤウォーマー1セットしか使用できませんが、気軽に持ち運んで使いたいところで使える発電機として、サーキット以外でも役立つこと間違いなし。
「軽い」「小さい」「静か」の3つが揃っている本製品は、場所を選ばず使えるのも嬉しいですね。
EF9HiSのスペック
全長x全幅x全高 | 450x240x380mm |
重量 | 12.7kg |
燃料タンクの容量 | 2.5L |
連続運転時間 | 約11.9~4.1時間 |
出力 | 0.9KVA (900W) |
電圧 | 100V |
電流 | 9A |
差込口の数 | 15Ax2個 |
参考価格(Amazon) | 84,899円 |
ガスボンベで作動する!【ホンダ エネポ EU9iGB】
カセットコンロで使用する市販ガスボンベで稼働する発電機で、縦長サイズで非常に持ち運びやすい形状をしています。キャリーケースみたいですね!
また、ガソリンを燃料としないため、キャンプ用や非常用としても役立ちますので、一家に一台置いておいてもいいかもしれません。
EU9iGBのスペック
全長x全幅x全高 | 365×262×524mm |
重量 | 19.5kg |
燃料タンクの容量 | 500g(カセットボンベ2本分) |
連続運転時間 | 約1.1~2.2時間 |
出力 | 0.9KVA (900W) |
電圧 | 100V |
電流 | 9A |
差込口の数 | 15Ax2個 |
参考価格(Amazon) | 138,000円 |
価格や性能麺を考えると一番お得【新ダイワ インバータ発電機 IEG1600M-Y/M】
防音タイプのインバーター発電機で有名なヤマハからOEM供給された製品ですので、圧倒的な静粛性があります。
特にエコモードの状態だと。耳障りなエンジン音がかなり抑えられます。
1.6kVAの出力は、エコモードの状態でもタイヤウォーターも起動させられるため、0.9kVAの発電機より使い勝手がいいかもしれません。
筆者が個人的に一番お世話になった発電機でもあり、もちろん全日本選手権でも使用していました。
IEG1600M-Y/Mのスペック
全長x全幅x全高 | 490×280×455mm |
重量 | 20kg |
燃料タンクの容量 | 4.2L |
連続運転時間 | 約10.5〜4.2時間 |
出力 | 1.6KVA (1600W) |
電圧 | 100V |
電流 | 16A |
差込口の数 | 20Ax2個 |
参考価格(Amazon) | 110,000円 |
2セットつなげても余裕の容量【ホンダ インバーター発電機 EU18i】
耐久性に優れており、タイヤウォーマーを2つつなげても稼働するほどパワフルなエンジンとなっています。
また、本体は倒れにくい構造をしているため、間違ってコードを引っ張ってしまっても問題ありません。
さらにエコスロットルを使えば最大運転時間は約10時間とかなり長持ちですので、仕事現場でも活躍しています。
EU18iのスペック
全長x全幅x全高 | 509×290×425mm |
重量 | 21.1kg |
燃料タンクの容量 | 3.6L |
連続運転時間 | 約7.5〜3.0時間 |
出力 | 1.8KVA (1800W) |
電圧 | 100V |
電流 | 18A |
差込口の数 | 2個 |
参考価格(Amazon) | 153,800円 |
タイヤウォーマーと同時にレンジやケトルも使える【工進 インバーター発電機 GV-28i】
2.8kVAと超大容量の発電機で、タイヤウォーマーや電子ケトルなど、多くの電力が必要なものでも気にせず使うことができます。重量は38kgと重いですが、持ちやすい取手やキャリーも付いているため、持ち運びに関して全く不便に思いません。
このサイズの発電機にしては価格もかなり安く、コスパに優れた商品でもあります。遠征先での拠点に1台置いておきたいですね!
GV-28iのスペック
全長x全幅x全高 | 605×437×493mm |
重量 | 38kg |
燃料タンクの容量 | 8L |
連続運転時間 | 約9.4〜4.1時間 |
出力 | 2.8KVA (2800W) |
電圧 | 100V |
電流 | 28A |
差込口の数 | 15A×2個 28A×1個 シガーソケット×1 |
参考価格(Amazon) | 115,755円 |
発電機を買うときにセットで揃えておきたいもの
ここでは発電機を買う時に同時に揃えておきたいものをご紹介します。
延長コード
発電機とセットで常に用意しておきたのは延長コードとも言えます。
おすすめは、コード部分がしっかりして折り曲げても使える業務用のコードの方がいいでしょう。
また、差込口が複数に分かれており、10mくらいの長さのものであれば大抵の場面で不便はしません。
オイラー
一昔前の発電機は2ストロークのものが多かったのですが、最近の発電機は4ストロークが主流となってきたため、定期的にエンジンオイルの交換作業をしなければいけません。
しかし発電機は非常にコンパクトな構造をしているため、エンジンオイルの投入口もかなり小さくいんですよね。また、使用するエンジンオイルの量も数百ccと、かなり少なめです。
そのためスムーズにオイルを注入できるようにオイラーを用意しておくと、交換作業が楽になります。
移動用の台車
いくら持ち運びができる小型の発電機と言っても、10キロ以上もある重量物ですので、毎回手で持っていくとかなり疲れます。そのため移動用の台車を用意しておきましょう。
おすすめは折り畳みができてタイヤウォーマーも一緒に入れることができるアウトドアワゴンですね。
レースでグリッドに並ぶ時にタイヤウォーマーを入れたり工具も入れたりできますので非常に便利です。
まとめ
バイクレースには電源の確保が欠かせません。特にタイヤウォーマーを使うためには、ある程度の出力の電源が必要となります。
またバイクレースの現場はある意味アウトドアのようなものですので、屋外でも安全に使用できるものでなければいけません。
今回ご紹介した発電機は、どれもバイクレースの現場で実際に使われているものばかりですので、この中から自分の用途にあった1台を選んでみてはいかがでしょうか?