ツーリングは楽しいイベントですが、実は事故が起こりやすい状況でもあります。
また、それはハッキリとデータとしても現れていますので、走行中はくれぐれも注意しておく必要があります。
そこでこの記事では、
- ツーリングで起こった事故の体験談
- 事故にあわない方法
- 事故ってしまった時にやるべきこと
などをご説明します。
具体的には、
- 転倒して修理費が車両価格を超えた
- 保険屋とトラブルになり裁判になった
- 一生抱えなければならない後遺障害を持つことになった
などといった内容をご紹介します。ツーリング中に事故ってしまった時、または事故を予防するためにもぜひ目を通しておいてください。
正しい行動ができれば、事故のダメージを減らすことにつながりますよ。
バイクの死亡事故の4割はツーリング中に起こる
ツーリング中の事故で多いのが死亡事故。
何よりも避けたい事故ですが、ツーリング中に起こりやすいのも事実です。
平成28年の警視庁が作成したデータですが、バイクの死亡事故はツーリング中に起こるとハッキリ数字に現れているんですよね。
死亡事故全体の38%が「観光娯楽ドライブ」、つまりツーリングに相当します。
バイクの死亡事故の4割近くがツーリング中に起こっていると覚えておいてください。
東京や大阪のライダーの事故率が高い?
また、東京や大阪のライダーが近隣の県にツーリングに行き、死亡事故に遭う確率が高いというデータもあります。
知らない道を走ると事故率は上がる
さらに事故が起こる県として、長野、群馬、山梨などが多いというデータもあります。
県民が事故に遭う確率より、他県から流入して事故を起こしてしまう確率が高いようですね。
やはりツーリングは慣れ親しんだ道ではないため、危険予知もあまりできません。ツーリングは普段よりもさらに安全運転でなければいけないということですね。
意外と単独事故が多い
ツーリング中は単独事故を起こす確率が高く、グラフの約半数を占めています。原因は単純なよそ見、疲労などが考えられます。
いずれにせよ、ツーリング中に事故で死んでしまう。こんな悲しいことはありません。
言うまでもなくバイクの方が車と比べて重症になる確率が高い
常識かもしれませんが、装備をするとは言っても守るものがほとんどないバイクは、事故を起こせば車より重症になる確率が非常に高いのです。
死亡事故率は2倍、致死率で計算すればざっと4倍になります。
死亡する原因になるのは頭部へのダメージが最も多く、次いで胸部となっています。
つまり、いかに頭部と胸部を守るかが、ツーリング中の死亡事故を防ぐ鍵となります。ちなみにケガの箇所は腕、あご、足などが多くなっています。
頭部を守るためには安全基準に合格しているヘルメットの安全が必須です。
また、最近では胸部や頸椎を守るためにバイク専用のエアバッグベストが販売されていますので、着用することもおすすめします。
次に、実際にツーリング中に事故に遭ったという人たちの体験談を見ていきましょう。
実際にツーリング中事故に遭遇した人の体験談をまとめてみた
実際にツーリング中に事故に遭遇した人の体験談を、Twitterでアンケートを取ってみました。
※今回のアンケート収集は、ライダーハウスを運営されていた@hatinoyado様により、バイク乗りの方々に聞いていただきました。リアルな体験談ですので、かなり参考になるはずです!
鹿さんと接触
田舎道などは野生動物との接触も考えられます。突然目の前に飛び出てこられると、避けようが無いかもしれません。
しかしとっさの時に対応できるスピードで走行しておくなど、防衛運転はできるはずですので、山道を走るときは野生動物の存在を頭に入れておく必要がありそうですね。
修理費10万円はかなり痛い出費でしたね。相手が鹿だと保険も請求できませんので、やはり自分で車両保険に入っておいた方がいいですね。
次の方の体験談も思わぬ事故でしょう。
転倒して奥歯が欠けたと思ったら虫歯が発覚した
憧れのなぎさドライブウェイですが、そこで奥歯を折るほどの大転倒をしてしまったようです。それがきっかけで虫歯が見つかったので結果オーライ?
対向車線でスリップしたバイクがこちらに飛んできたという貰い事故。運が悪かったというしかありませんね。
ただ、さすがコミネのジャケットです。廃車になったVTRは残念でしたが、コミネを装備していなかったらもっと酷いことになっていたでしょう。
重傷を負って長期入院
典型的な右折と直進の事故ですが、ツーリングの停止と長期入院は大変ですよね。そしてこの方も保険屋さんとトラブルになりました。
相手の保険屋さんがどのような人かはこちらで決めることはできません。しかもこちらと親しい保険屋さんでなければ、基本的に保険料を値切ってきます。
そのためトラブルになったら決して言いなりにならず、粘り強く言い続けることも大事。できれば弁護士を呼ぶのが良いですね。
ツーリング中事故に遭わないようにするための方法
公道を走る以上、絶対に事故に遭わない方法はありませんが、できるだけ事故を避けることは可能です。
ツーリングでは普段と違う環境であることを頭に入れておき、以下のことを忘れないようにしてください。
- 余裕を持った運転が大事
- 休憩はこまめに撮る
- 峠では下り坂に注意
①余裕を持った運転が大事
普段の抑制された環境から解放されるツーリングは、解き放たれたような解放感に満たされるでしょう。
しかしそれは、上で紹介したデータにも現れている通り、都市圏から信号のない道へと解放されたライダーが事故を起こしていることも明らかです。
気持ちはわかりますが、いつも以上に気を付けて運転する気持ちが大事です。日程やスケジュールを管理して余裕を持つことで、見える景色も変わるはず。
スピードを出すだけなら誰でもできますので、もっと違う楽しみを見つけると良いかもしれませんね。
②休憩はこまめに取る
ツーリング中は楽しくて、ついつい長距離を走りがちになります。しかし楽しくても疲労は蓄積されていきますので、いつも以上に休憩を取りましょう。
北海道深川市内の道道を走行していた大型バイクが対向車線側へ逸脱。対向車線を順走していた中型トラックと衝突する事故が起きた。この事故でバイクの運転者が死亡している。
レスポンス
この事故でも、大型バイクがふらついて死亡事故になってしまいました。
日程が決まっているツーリングでは、「今日中にあと何キロ走らなければならない!」と無理をしがちになってしまいます。
道の駅があったらなるべく休んだり、1日の稼働時間を厳守するようにしましょうね。
スケシュールを詰め込みすぎて「あと、200㎞走らないと仕事に間に合わない!」というツーリングではダメですよ。
③峠では下り坂に注意
ツーリング先で峠を駆け抜けるのは醍醐味の一つでもあります。ただし事故も増えるので注意してください。
特に下り坂は曲がり切れず膨らんでしまったり、ついスピードを出てしまいがちです。
コースを熟知せず、かつツーリング装備をたくさん積んでいるバイクでの峠走行は安全運転でいきましょう。
ツーリング中事故に遭遇しやすいシチュエーション
初めての場所や、慣れない場所を走ることが多いツーリングでは、事故に遭遇しやすいシチュエーションが非常に多いです。特に、
- 交差点
- カーブ
- 直線道路
これらの場所では安全を確保したライディングを心がけましょう。
交差点
交差点は普段でも事故の起こる可能性が高い場所です。バイクは車やトラックの陰に隠れやすく、右折してくる車と衝突しやすい傾向があります。
車を運転していても、いきなりバイクが飛び出してきてヒヤッとしたことはありませんか?
車から見るとバイクは小さく、遠くにいるように見えます。交差点では右折してくる車に注意しましょう。
また、右にいる車が突然左折してくることもあります。自分の存在を車にわかってもらうことを意識しましょう。
- 車の死角に入らない
- 無理なすり抜けはしない
- 右折車に注意する
これらのことを考えると交差点は危険地帯と言っても過言ではありません。ツーリングの思い出を最悪なものにしないよう、くれぐれも注意してください。
カーブ
ツーリング先でのカーブはいつものカーブではありません。
カーブの半径、センターポールやキャッツアイ、路肩の狭さや膨らんでくる車など、そこにしかない危険な状況が把握できないからです。
慣れ親しんでいる地元では常識として認知していても、ツーリング先の道では通用しなかったというのもよくあること。
カーブの先には何があるかわかりませんので、ツーリングではいつもの感覚で進入しないようにしましょうね。
直線道路
ツーリングでは「直線道路なら安全だろう」というのも危険な考えなのです。
例えば北海道では「十勝型事故」(コリジョンコース現象ともいいます)という言葉があります。
十勝型事故・・・十勝地方のような長い直線道路で起こる事故のこと
例えば、遠い交差点で合流しそうな車が見えたとします。向こうはまだ小さく、交差点に到達するには時間がかかると判断しました。
しかし、十勝地方では車の平均スピードが速く、感覚よりも遥かに早い時間で交差点に進入します。そして気づいた時にはブレーキが間に合わず事故になってしまうというわけです。
もしもツーリング中事故に遭遇してしまったら
それでは実際に事故に遭遇してしまった場合の対応についてご紹介します。
事故直後は興奮してパニックになってしまいますが、落ち着いてこれらの行動をとってください。
- 道路脇に避難する
- 身体が無事ならバイクを避難させる
- 警察に連絡する
- 必要ならば救急車を呼ぶ
- レッカーサービスでバイクを運んでもらう
- 保険会社に連絡する
①道路脇に避難する
まず、後続車に衝突されることを避けるため、道路わきに避難します。
ただし、ツーリング装備の積載のためにバイクが起こせないことも考えられますので、その場合はまず自分の身体を優先しましょう。
自分の身体が安全な場所に避難できたのなら、次は後続車への注意です。三角停止板などがあれば、それを使って後続車にバイクがあることを伝えられます。
バイク用の三角停止板はコンパクトで持ち運びも簡単ですので、この機会に装備しておきましょう。
②身体が無事ならバイクを避難させる
身体の無事を確認したのなら、バイクの避難を考えます。
ツーリング装備満載で、いつもよりも重量がかさんでいるはず。1人では引き起こせないこともあるでしょう。
後続車にお願いして、助けてもらうことも考えられます。坂などでは引き起こせても押せない状況ですので、複数人必要になります。
すぐにエンジンをかけるのは良くありません。路肩や安全な場所にバイクを避難させた後は警察への連絡が先です。
③警察に連絡する
自損事故など、周りに人がいないなら自分で警察に連絡します。
後続車や相手がいれば、なるべく連絡してもらうようにお願いしましょう。
事故直後は頭がパニックになっていますし、警察に場所や状況を伝えるにも上手くできないことの方が多いです。
目撃者がいれば、なるべく残ってもらうようにお願いします。後に重要な証人になることもありますので、連絡先も聞いておきましょう。
④必要ならば救急車を呼ぶ
もし自分や相手がケガをしているなら救急車を呼びます。
これも目撃者にお願いするのが望ましいです。自分ではケガの度合いは判別するのは難しく、後で首が痛いと気づいたりするからです。
また、事故の後で病院に行っても、事故とケガとの関連性が無ければ保険や後遺障害認定で不利になります。
事故後の興奮状態では救急車の必要性は判断しにくいと覚えておいてください。
⑤レッカーサービスでバイクを運んでもらう
安全な場所でバイクの破損状況を確認します。
走行不可能であれば、レッカーサービスに連絡することになります。JAFや近隣のバイクショップなどを検索して電話しましょう。
- 年間4,000円でトラブル時は無料対応(入会金:2,000円 年会費:4,000円)
- 年中無休・24時間対応してくれる(もちろん無料)
- 飲食店やホテルで割引が受けられる(全国48,000カ所)
⑥保険会社に連絡する
加入している保険会社に連絡します。もし相手がいる事故ならば、相手の保険会社との話し合いになるでしょう。
ここで注意したいのは、過失割合が10:0の事故であっても油断してはいけないということ。
なぜなら相手の保険会社が悪質だった場合、こちらに不利な条件を突き付けてくることがあるからです。
もし、自分の保険に弁護士特約などがついていれば、早い段階で弁護士の介入も考えられます。
事故後の相手とのトラブルはお互い消耗するため深追いはやめておいた方がいい
交通事故事例のトラブルの中でも最もタチが悪いのが相手とのトラブル。
これはお互いに譲らず口論になることが多く、言った言わなかったなど延々と続くことも考えられますので、お互いに消耗してしまいます。
弁護士を立てて徹底的に戦うなんてことも考えられますが、お金も時間も労力も使うため、できればある程度に留めて深追いしない方が良いでしょう。
ヘタをすれば、トラウマになってバイクに乗るの自体嫌になってしまうこともありますからね。
ツーリング中の事故に備えて用意しておきたい装備品
自分の身体を守るためにも、事故に備えた装備品は揃えておきたいところです。
ここではツーリングライダーにおすすめの装備品をご紹介していきます。
ヘルメット
バイクの死亡事故で最も多いのが頭部へのケガ。そしてあごへのケガも防げるものと考えると。やっぱりフルフェイスです。
着脱のわずらわしさからフルフェイスを敬遠する人もいますが、フルフェイスだと走行風もスムーズに流してくれますので、長時間のライディングでも疲労を抑えることが可能です。
国内ヘルメットメーカー最大手のAraiからは、ツーリング用フルフェイスヘルメットなんてのも売られています↓
Arai アストロGX
- 風通しの良いベンチレーション設計
- 長時間のツーリングでも疲れにくいフッティング
グローブ
手へのダメージは見落としがちですが、ケガをした時のダメージは大きなものです。手が使えなくなると、日常生活への復帰も長引いてしまうでしょう。
ツーリング先ではアクセルやクラッチ、ブレーキなどの操作がしやすいタイプがおすすめです。
プロテクターの入っている革製が扱いやすいですが、革は水に弱く、雨が降ると使えません。天候や行き先の状況に合わせて使い分けるようにしましょう。
ブーツ
転倒時などバイクの下敷きになった時を想定して、専用のブーツを装備しておきましょう。くるぶしを守るだけでもケガの重さが軽くなりますからね。
また、ツーリング使用のブーツは通気性があると快適です。足の蒸れを軽減してくれるため、長時間使用することができます。
プロテクター
死亡原因が頭部に次いで多いのが胸部です。そこで最近は胸部プロテクターを装着することが推奨されています。
大げさと思う人もいるかもしれませんが、胸を強打して肋骨が内臓を傷つけてからでは遅いですからね。
脊椎パッド
脊椎を損傷して、残りの人生が車椅子生活になるライダーもいます。
そうならないように、脊椎パッドを装備しておくのもいいでしょう。
ツーリング中の事故に備えてエアバッグベストを着用するのもおすすめ
前半にもご紹介しましたが、バイクで転倒した際に事故から身体を守るためにエアバッグベストを着用するのもおすすめです。
エアバッグバストはバイクにコードを接続しておき、転倒の際に身体がバイクから離れるとコードが抜けてジャケット内にガスが充満して膨らみます。
また、ジャケットが破れなければボンベを交換するだけで何度でも使用できるのです。
バイク用エアバッグは種類も豊富で、メッシュタイプのものも存在しますので夏場も快適。
以下の記事でおすすめのエアバッグベストをまとめて紹介していますので、参考にしてみてください。
ツーリングの事故でバイクが壊れた時を考えて【車両保険】に加入するのも大事
ツーリング先で転倒し、バイクが壊れてしまった時に備えて車両保険に加入しておくのも大事です。
おすすめの車両保険はずっとバイク車両保険。
バイクの部品はもちろん、カスタムパーツの保証もしてくれますので、例えば社外マフラーを壊してしまっても保証が受けられます。
もちろん鹿を轢いてしまっても、警察に連絡して「交通事故証明書」を発行して貰えば適用されます。
ただし、
- 購入金額5万円以上の車両やパーツ
- 購入から90日以内の車両やパーツ
という条件があります。
しかしバイクやパーツを買って3ヶ月以内の人なら入っておくことをおすすめします。
- 選べる保険料プランが多い(全損と3種類の分損から組み合わせる)
- カーナビや社外パーツにも対応
- 短期から加入できる(1・2年)
まとめ
ツーリングでは楽しいイベントばかりではありません。
雨が降ったり、渋滞に巻き込まれたり、想像したくない事も起こってしまいます。事故はその典型的な例でしょう。
最初から事故を想定してツーリングに行くライダーは少ないです。しかしバイクの事故はツーリング先で起こることが多いということは決して忘れてはいけません。
備えは早めにやってしまいましょう。もしもの時の準備をしておくのが、カッコイイ良いライダーでもありますからね。