いつもツーリングに行くときは誰かと行くのが当たり前!
「1人でツーリングって何が楽しいんですか?」
と思っているライダーの皆さんに、ソロツーリングの楽しさ、醍醐味、注意点などを紹介します。
1人でツーリングしたことないから不安
え?バイクって1人で走って楽しいの?
事故に遭ったり道に迷ったら1人では危なくない?
こんな悩みや疑問をビシッと解決します!
バイクの魅力をお腹いっぱい味わえるソロツーリングに出かけましょう。
ツーリングは「1人」で行くか「みんな」で行くかによって変わる
バイクは1人で走るものですが、ツーリングのスタイルは人それぞれ。
「1人で走ろう」と「みんなで走ろう」は一体何が違うのか?疑問に思ってしまうかもしれませんが、実は全然違います。
まずはその違いを解説していきます。
【1人で行く】ソロツーリング
1人で行くのをソロツーリングと言います。誰とも約束せず、1人でバイクにまたがり走り出せばそれはソロツーリング。
旅の途中で誰かと出会って、そこから同行してもソロツーリングです。
誰かと一緒に走る約束を交わさなければ、ソロツアラーになります。
【みんなで行く】マスツーリング
「○日の○時に××に集合して・・・」と誰かと約束して一緒に走ればマスツーリングです。
2人以上で集まって走ればそれはマスツーリング。
ポイントは指定の場所に集まって一緒に走り出すことで、途中で自然解散してもいいですし、最初から最後まで一緒でもマスツーリングとなります。
目的地だけを指定して、各々好きなスピードで走るマスツーリングもありますので、マスツーリングの定義も広いです。
ソロツーリングのメリット
「1人で走って何が楽しいのかわからない…」
「一緒に楽しむ仲間がいないと…」
という疑問に、ソロツーリング派のライダーからメリットを教えてもらいました。意外と「1人でも楽しいし寂しくない!」という声が多かったです。
- 好きなときに自由に走れる
- 行き先も自由
- 速度を気にする必要がない
- 自分自身を見つめられる
- 旅先での出会いが増える
- トラブルを乗り越えると強くなる
順番に見ていきましょう。
①好きなときに自由に走れる
ソロツーリングのメリットは気軽さです。時間を決めて待ち合わせする必要もなく、気が向いたらバイクにまたがり走り出せます。
どこまで走るかも自由、どこを走るかも自由です。
他人に合わせることなく、自分が走りたいときに走りたい場所を走りたいだけ走ることが可能。それがソロツーリングの最大のメリットです。
②行き先も自由
ソロならばツーリングの行き先も自由です。
1人なので目的地を設定する時に相手の意見を聞く必要がありません。
気を使って「どこか行きたい場所ある?」とか「ここでいい?」と確認をとることもなく、気になる場所に行くことができます。
また、マイナーな道や観光スポットに行くならば、ソロツーリングのほうが向いています。
筆者はライダーハウスを経営していたのですが、どちらかというと「マイナーなスポット」でした。
マスツーリングの団体さんがやってきても、いざその特徴的な外観を目の当たりにして「やっぱり別の場所に行きます・・・」とキャンセルされたことが何度かあります。
1人だったら「なんだここ!?面白い!」と自己責任で突撃できても、団体になると全員の意見をまとめなければいけませんものね。
自分の好奇心だけで自由に動けるのがソロツーリングのメリットです。
③速度を気にする必要が無い
マスツーリングでは迷惑にならない程度のスピードを出せるのが暗黙の了解。
それをネタにした2chのコピペもあります。(マグナキッド伝説)遅い人に合わせるのも、速い人についていくのもフラストレーションになります。
「今日は飛ばしたいな」とか「トコトコゆっくり行きたいな」などの気分だったらソロツーリングが向いています。
④自分自身を見つめられる
インカムなどで話ながらツーリングできるマスツーリングとは違い、ソロツーリングは孤高の世界です。
峠でもなければ聞こえるのはエンジンの音だけ、ヘルメットの中で自分と向き合うぐらいしかやることがない時間もあります。
この状態は考え事をするのに最高のシチュエーションです。
例えば運転中や電車での移動中になにかアイデアをひらめいたことはないでしょうか?
これは軽い運動と物理的な移動が脳に刺激を与えているのではないかと言われています。
その代表的な例として有名なのが、ハリーポッターを書いたJ・K・ローリングでしょう。
彼女がマンチェスターからロンドンに向かう列車のなかで世界的な大ヒット作品を思いついたように、移動中というのは考え事に適していると言えます。
電車では時間が来たら目的地に到着してしまいます。
ですが、ソロツーリングなら好きなだけ走ることができるのです。
家にいれば用事などのやるべきことで集中できなくても、バイクに乗っていれば頭の中を整理して、自分自身を見つめられる時間にすることができます。
⑤旅先での出会いが増える
「ソロツーリングって寂しくないの?」という疑問も投げかけられます。
いや、全然寂しくありません。
なぜならソロツーリングだと、同じバイク乗りに話しかけられます。
やったことがないなら想像できないかもしれませんが、道の駅で休憩したり、食堂でごはんを食べたり、宿で休んでいるときでも、意外とソロライダーは話しかけられます。
「バイクに乗っている」というだけで、年代や性別は関係ありません。
- 「どこ行くの?」とか「どこから来たの?」という簡単な会話
- 「この先に警察がいるよ」「あそこのご飯が美味しいよ」という情報
- 「このバイクいつ買ったの?」「俺も昔乗っていたよ」というバイク話
その様な会話が楽しくて、気がつけば自分から話しかけるようになるかもしれませんよ。
逆に、マスツーリングしているライダーに話しかけるライダーはあまりいません。
なぜならマスツーリングする人たちのグループに間に割り込むのはちょっと気が引けるから。
その人たちの間で空気ができあがっていますので、やはり話しかけられやすいのは圧倒的にソロツーリングしているライダーです。
私のやっていたライダーハウスでも3人以上の団体がやってくると交流は生まれませんでした。
その団体だけで孤立してしまうような状態ですね。
そのため、団体のお客さんには他の宿をオススメしていたほどでした。例え1人だとしても、全員がソロなら10人以上でも交流が生まれていました。
と言うわけで、出会いが生まれやすいのは圧倒的にソロツーリングです。
寂しいのが嫌ならば、むしろソロツーリングで旅をした方がおすすめですよ。
⑥トラブルを乗り越えると強くなる
ツーリングにはトラブルはついてまわるものです。
パンクや盗難、道迷い、ガス欠など予期せぬトラブルに襲われるでしょう。
だからと言って、それを仲間に任せっきりにしてはライダーとしての実力が上がりません。
トラブルを怖れてマスツーリングに参加するだけでは、いつまでたっても初心者のままです。
- 給油のタイミング
- パンクした場合の応急処置
- 地形や気温の読み方
などは失敗しながら身につけるもの。
トラブルを乗り越えることで、どんな状況にも対処できる強さが身に付きます。
もちろんなるべく未然に防げればいいんですけどね。
ソロツーリングのデメリット
身軽で寂しくもなく、ライダーとしてのレベルアップも計れるソロツーリング。
その反面デメリットも存在します。
- トラブルがあったときはすべて自分で対応しなければいけない
- 事故をしたときには助けを呼べない場合も
- ついついペースが上がりがちになる
- マンネリ化しやすくなる
①トラブルがあったときはすべて自分で対応しなければいけない
トラブルはライダーとしての経験値を高めてくれるもの。
特に壊れやすいバイクに乗っているならば、メンテナンスの技術は必要不可欠です。
最新のバイクでもパンクしたり、ガス欠にあったりするのは避けられません。
そこで初心者の間はソロよりもマスツーリングのほうがいいでしょう。
教習所で教わるだけでは予測できないトラブルにあっても、仲間やベテランがいれば対処法を学ぶことが出来ます。
それは貴重な経験であり、後に同じトラブルに出会っても対処ができるようになるでしょう。
ソロツーリングのデメリットは、このようなトラブルを1人で対応しなければいけないことです。
自信が無いうちはソロツーリングではなく仲間とマスツーリングで経験値を高めた方が安心かもしれませんね。
②事故をしたときには助けを呼べない場合も
万が一の事故の場合、車に比べてバイクは身体へのダメージが大きくなります。
近くに人がいれば助けを呼べるのですが、そうでないなら自分で救急車を呼んだりバイク屋にバイクを回収してもらわなければいけません。
それは通常時なら容易なことですが、事故後の混乱した状態ではパニックで上手くできないでしょう。
私も友人とツーリング中にガードレールと左人差し指を挟んでしまったことがあります。
激しい痛みと、指がつぶれた感覚でパニックになってしまいました。
とても1人で救急車を呼ぶなど不可能だったと思います。幸い素早く救急車を呼んでくれたおかげで、指は短くならずに済みました。
ですので、ソロツーリングでは事故に対してより警戒をするべきなんです。
起こしたくて事故を起こす人はいませんけどね。
③ついついペースが上がりがちになる
日常を離れて遠くへツーリングに出た時は解放感に満ちているでしょう。
仕事や学校などの束縛から解き放たれて、ついついアクセルを回してエンジンパワーを解放したくなるもの。
そして、そんな場所にこそ警察のパトカーが死角に隠れているのはバイクあるある、点数と罰金でしょっぱい思いをすることになるでしょう。
ソロではなくマスツーリングならその様な悲しい出来事を未然に防ぐことができます。
なぜならペースメーカーがいれば自然と抑制が効くからです。
といっても、相手や仲間の方がスピードを出す人だったら効果はないので注意です。
④マンネリ化しやすくなる
ソロツーリングばかりだと、近くのツーリングスポットにはだいたい行き尽くしてしまいます。
するとだんだんマンネリ化してしまい、刺激は少なくなるでしょう。
そのような場合は誰かをさそってマスツーリングするのが効果的。
知り尽くした道やポイントなども、誰かと走れば新しい発見があるものです。
安全にソロツーリングをするために必要なこと
事故やトラブルは避けたいですが、どうしても避けられない場合もあります。
ソロツーリングならそのダメージは大きく、下手をすれば会社や学業にも影響が出てしまうでしょう。
ここでは安全にソロツーリングするために必要なポイントをまとめてみました。
ツーリングの計画をきちんと立てる
ツーリングは計画から始まっています。目的地が決定したら天候や走行距離などを必ず確認しましょう。
峠などを走る場合は平地よりも気温が低く、また天候も変わりやすいので注意が必要。
GoogleMapなどを使い、予定到着時刻や走行距離などスケジュールをちゃんと組んでおきます。
また、おすすめなのがアプリを使った方法。
例えばナビタイムのツーリングサポーターでは、ツーリングルートを保存したり、そのままカーナビとしても使用できます。
有料会員になれば、オービスなどの位置も知ることができますので、免許の点数が心配な人にも安心。
ルートの作成はGoogleMapでも可能で、(PC版のみ)ログイン後にマイプレイス→マイマップからルートを作成ができますよ。
無料でも使え、おすすめツーリングルートも提案してくれます
計画をきちんと立てても、実際にはその通りにならないのは仕方ありません。
立てた計画は無駄ではなく実際に走った時のズレとして自分の経験になります。
予測不能の出来事にも落ち着いて対処できれば、安全なソロツーリングができるライダーに慣れますよ。
いつも以上にリスクに備えた運転をする
事故のリスクはソロツーリングだと重大なものになります。
例えば誰もいない田舎の道を気持ちよく走っていたらガードレールと接触し、助けを予防にも携帯が圏外ということも。
バイクが動かなくなるケースも考えられます。一緒に走っている仲間がいれば安全な場所まで戻ることが出来たり、バイク屋まで走ることも可能です。
誰もいない峠や林道などを走る場合などは特に注意が必要です。
山の中で仮にエンジンがかからなくなってしまったら、日没までに山を下りられるか分かりません。
バイクの故障が命の危険までに直結してきますので、ソロツーリングではリスクに備えた運転が必要です。
行き慣れたルートからスタートする
ソロツーリングのデメリットを知ってしまうと、なかなか1人で出発できなくなるかもしれませんね。
そんな時は行き慣れたルートから始めてみましょう。
そこから徐々に走行距離を延ばしてみることによって、無理なく安全にソロツーリングライダーのステップを踏むことが出来ます。
日帰りツーリングから始める
ツーリングとなると、なるべく遠くに行きたくなるのは当然の心理です。
いままで踏み込んだことのない土地を訪れることを想像するだけでワクワクしてくるのではないでしょうか?
しかしソロツーリングの経験が浅いのならば、まずは日帰りツーリングから始めてみましょう。
1泊するとなると、それなりの準備が必要になるからです。
筆者が初めてのキャンプツーリングをした時の話です。
山奥のキャンプ場に到着し、テントを張った時にライトを持ってきていない事に気づきました。
そして食料もなにも持っていませんでした。
バイクで遠くに行くことだけを考えていたので、それらの必需品にまったく考えが及ばなかったのです。
賢明な読者の皆さまはこのような失敗をすることは無いと思いますが、1泊するには準備が必要。
たとえビジネスホテル利用でも同じこと(予約が無ければ泊めてくれない場合があるため)です。
さらにトラブル時に帰還する距離も遠く、仕事の都合などでバイクを放置したまま帰らなければいけないこともあります。
まずは日帰りで近場からツーリング経験を積むべきです。
ソロツーリングを始める方法
1人でバイクにまたがり、好きな方向に走り始めればソロツーリングになります。
ですがこれまでご紹介させていただいたように、安全に走るにはそれなりの準備が必要です。
ソロツーリングのノウハウについてちょっと知っておいてください。
- 行き先を決める
- 目的地までの行き方を決める
- ソロツーリングに必要なものを準備する
①行き先を決める
ベテランライダーになると「晴れている方向に走る」といって無目的なツーリングが可能です。
しかしそれは頭の中にだいたいの道と土地感があるからできること。
そうでないなら行先を決めることがまず、ソロツーリングの第一歩です。目的地を決めましょう。
②目的地までの行き方を決める
目的地が決まったら、そこに至るルートを決定します。
例えば海沿い、山の中、高速道路の3本のルートがあるのなら「行は海沿いを走って、帰りは高速道路で帰ろうかな?」とプランを立てることができます。
ソロツーリングに慣れないうちは、予定到達時間の読みはどうしても外してしまうものです。
そのため行き方の候補はいくつかピックアップしておきます。
③ソロツーリングに必要なものを準備する
ツーリング当日になって必要な道具を準備するのは悪い方法です。
朝起きて頭が眠ったままバイクに乗っても大体忘れものをしてしまうでしょう。
「あれ忘れた!」と気づいた時には家から何十キロも離れているというのは本当に良くある話。
必ず前日までにソロツーリングに必要な荷物を準備しておきます。
天候や気温に応じた防寒着、携帯の充電と予備バッテリー、突然の雨に対応できる雨具や手袋、健康保険証なども必要です。
ソロツーリングの時に持っていた方が良いもの
ソロツーリングに何を持っていったらいいのかわからない!
という人向けに、こんなアイテムがあるといざと言う時に役に立つものをご紹介します。
携帯工具
バイクには備え付けの車載工具があるはずですが、それは最低限のものでしょう。ハッキリ言って使えない工具です。
もし転倒してクラッチレバーが折れてしまったとしても、車載工具では応急処置もできません。
極限までコンパクトなバイク用車載工具。これがあるだけでちょっと安心できます。
予備のレバー類
ソロツーリングでよくあるトラブルが転倒です。
走行中はもちろん立ちゴケにも要注意。駐車してバイクを降りる瞬間、一瞬の気のゆるみが立ちゴケを誘発し、クラッチレバーやブレーキレバーを折ってしまうこともあります。
根元から折れてしまうとそこでツーリング中止です、とても悔しいですよね。
その様な状況に対応するため、予備レバーを持っていけば安心!
この動画のように、いつスリップして転倒するか予測はできませんよ。
簡易パンク修理キット
ソロツーリング中にパンクしてしまうと何もできません。
途方にくれてしまい、しばらくバイクの横でぐったりしてしまいます。
JAFや近くのバイク屋に連絡をして、バイクを引き取りに来てもらうしかないでしょう。しかし当然お金や時間がかかってしまいます。
このようなパンク修理キットを持っていれば、近くのバイク屋まで自走することができます。
ただし完全に修理するのではなく、あくまで応急処置です。
ですがその応急処置のおかげで大幅に時間を節約でき、パンクが治れば家まで自走で帰ることができます。
パンクを軽く見てはいけません。
もし田舎や誰も走らない峠道でパンクした場合、携帯も通じなければ命の危険があります。
夜通し歩いて民家を探すことになるかもしれないのです。
そんな辛い思い出を経験するよりは、このような道具を準備しておきましょう。
予備のガソリン
ソロツーリングでガス欠になると、精神的にも大きな負担となります。世界に一人取り残されたような気分になるので、できれば予備の携行缶を持ち運ぶことをおすすめします。
携行缶と言っても大きなものは必要ありません。1Lくらいの小さなボトルタイプの携行缶を持っているだけでも良いでしょう。
まとめ
ソロツーリングの魅力と危険について解説させていただきました。
マスツーリングのような安心感はありませんが、バイクならではの自由や気軽さ、そしてバイク乗りの仲間意識を感じるならソロツーリングです。
1人で走り出せば、きっといろんなドラマや景色、人間と出会えるはず。最初は近場から始めてみればリスクも少ないので、徐々に愛車と遠くに行ってみませんか。
きっとそこには予測不能な、自分だけの旅があるはずです。