バイク用語

バイクのトラクションコントロール(TCS)は一体どういうもの?

今や最近の最新バイクに標準装備されつつある「トラクションコントロール」ですが、

  • そもそもトラクションって何?
  • トラクションコントロールの構造・効果は?

という疑問も多いでしょう。

そこで、実際にトラクションコントロールが装着されたBMW S1000に乗った印象と共にご紹介します。

トラクションとは後輪が地面に力を伝えること


トラクションとは、タイヤが地面を蹴って前に進もうとする力のこと。

タイヤと地面の間には摩擦がありますが、限界を超えてしまうとホイールがスピンすることになり、アクセルの開度が大きすぎるとタイヤが空転してしまいます。

特に大排気量のバイクはパワーがありすぎるため簡単にスピンしてしまいます。

スロットルワークや路面の状況、タイヤの空気圧とサスペンションのセッティングによっても大きく変わってきます。

トラクションコントロールは制御装置

トラクションコントロールとは、TCSとも呼ばれ、(以下TCS)路面と接地面にかかる摩擦よりもエンジンパワーが上回るときにタイヤが空回りして滑ってしまうことを防ぐ制御装置のこと。

トラクションコントロールの目的、メリット

トラクションコントロールの目的は以下の2つに分けられます。

  • タイヤが滑るのを防止して安全性を高める
  • エンジンの力を効率よく地面に伝えて走行性能を高める

特に大型のバイクは走行時の安全性を高めるためにTCSを搭載しています。

特に悪路を走行する時はリアタイヤが空転してバランスを崩して転倒するということもありえます。

そのため、走行時の安全性や快適性を高めるためにTCSが使われます。

一方スーパースポーツなどではエンジンの力を無駄なく路面に伝えるためといった走行性能を追求する目的で採用されることが多いです。

アクセルを大きく開けた際にタイヤがスリップしてしまうと、エンジンパワーをロスすることになります。

タイヤが最も効率よくグリップする時はハーフグリップという微妙にスリップしている状態とも言われています。

そのため、少しでもその状態に近づけるためにTCSでタイヤの空転状態を調整しているというわけです。

トラクションコントロールの仕組み

滑りやすい地面でアクセルを大きく開けるとその場でタイヤのみが回転してしまい、転倒の危険に繋がることも。

この危険を防ぐため、TCSは常にタイヤの回転数を認識することで空回りを瞬時に感知してエンジン出力を落としたりしてタイヤが空転しないように調整しています。

そのため、TCSが搭載されていると、条件が悪い路面走行時やコーナリングでスピードが出すぎたときに安全性が高まると言えるでしょう。

トラクションコンロトールの役立つところ


TCSと聞くと、滑りやすい路面、特に雨で濡れた道路や雪道などを想像し、それなら注意して走ればいいという考えからTCSをあまり重視しない人もいるでしょう。

しかし、例えばツーリングなどで知らない道路を走行する際に、想像以上に砂利が浮いているところなど、予期せぬ悪条件である場合もあります。

そのような状態の道路ではTCSの存在は大きく、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

また、夜間など路面の状況を目視で確認しづらい場合も、ライダーが気づくことができない路面の異変にもいち早く感知し、未然に危険を防いでくれることもあります。

トラクションコントロールのデメリット

唯一のデメリットはTCSはあくまで機械で制御しているもののため、最適な設定に調整してあげる必要があるということ。

特にサーキット走行の場合、TCSが効きすぎてスロットルを開けてもなかなか進まない状態になります。

そうなると逆にTCS無しの方が速く走れるということにもなりかねません。

そのため、サーキット走行を突き詰めていくとTCSのセッティング出しに大幅な時間をかけることにもなります。

トラコン付きのバイクBMW S1000に乗ってみた


引用:https://jp.autoblog.com/2015/04/24/bmw-s1000r/

BMW S1000のTCSはDTC(ダイナミック・トラクションコントロール)といい、シート下のジャイロセンサーでバンク角を把握し、前後輪の回転差をキャッチして駆動力を調整しています。

また、DTCには車体がウイリーすることを防止するウイリーコントロールという機能が付いています。

BMW S1000のレーサー車両に乗る機会があったため印象をご紹介しますね。

走行中にTCSの強さを調整できる


S1000のTCSは7〜0〜−7までの15段階に調整することができます。ちなみに数字が大きいほどTCSが効く方向になります。

しかも左のハンドルにスイッチが付いており、走行中にTCSの設定を切り変えることもできます

TCSは最弱でいい

最初は0の状態で走行を開始しましたが、思ったよりバイクが進まない印象を受けました。

おそらくTCSが効きすぎており、エンジンの動力が大幅に抑えられている印象。

TCSが効くということはエンジンの力をセーブするということになるため効きすぎるとバイクが全く加速しなくなります

結局−7まで落として走行する方が程よくタイヤの滑り具合がわかるため、こちらの方がいいという判断になりました。

ちなみに−7の状態でもTCSが全く効かないという訳ではなく、少しは効いている状態となります。

どんどん精度が上がってくる電子制御

TCSはコントロールを失ったときや路面状況の変化があっても柔軟に走りをサポートしてくれる技術で無いよりはあった方がいいでしょう。

しかし、万能で付いていれば安心というわけではなく、あくまでサポートしてくれるということを頭に入れておく必要があります。

ただ、その精度は月日と共に向上しつつあり、例えばヤマハのYZF−R1は車両の「前後」「左右」「上下」の3方向の加速度と、「ピッチ」「ロール」「ヨー」の3方向の角度を検出する6軸センサーが搭載され、エンジンと車体制御を行なっており、電子制御の精度は人間の感覚に近づいているとも言えるでしょう。

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