バイクの排気量600ccと1000ccの違い

「600ccと1000ccって何が違うの?」

バイクに興味があれば、スーパースポーツの中でも一見同じように見える、「600ccのバイクと1000ccのバイクは一体どのような違いがあるのか?」という疑問を一度は持つこともあるでしょう。

そこで、全日本選手権は600ccのバイクで参戦していた経験や、2019年の8時間耐久ロードレースに向けて1000ccのバイクのテスト走行をした経験を元に600ccのバイクと1000ccのバイクの違いをご紹介します。

目次

排気量600ccのバイク

引用:https://www.honda.co.jp/CBR600RR/

中排気量のクラスで、ミドルクラスとも言われています。

街乗りのスーパースポーツ車がベースであるため、比較的乗りやすく、パワーは約120馬力前後となっていますが、大きなサーキットを走行すると、エンジンのパワーを使い切る感じがあります。

そのため、サーキット走行に慣れてきた人にはちょうどいいサイズのバイクではないかと思います。

排気量1000ccのバイク

引用:https://www.honda.co.jp/CBR1000RR/

大排気量であり、ビックバイクとも言われるこのクラスは、各メーカーが威信をかけて開発したスーパースポーツが多く、最新技術が惜しげも無く投入されています。

さらにレースではJSB1000というクラスがあり、このクラスは改造範囲も広く、馬力は220馬力以上。
乗りやすいというより、速く走ることに特化したバイクとなっており、しっかり乗りこなすにはそれなりに技術が必要となります。

排気量600ccのバイクと1000ccのバイクで違う6つのこと

600ccのバイクと1000ccのバイクは一見すると大きな違いはあまり無いと感じると思います。

しかし、排気量の差だけでも2倍近く違うため、走行してみるとたくさんの異なる点が存在します。

1.車重
2.最高速
3.物理的限界への到達スピード
4.加速力(G)
5.コーナリングスピード
6.電子制御

実際に乗ってみた体験を元にご紹介しますね。

1.車重

街乗りの状態でのCBR1000RRとCBR600RRの車重(カタログスペック)は以下の通りです。

  • CBR1000RR・・・196kg
  • CBR600RR・・・189kg

約7kgしか変わらないのですね。
ちなみにレースでのクラスST600(600cc)と、JSB1000(1000cc)のレギュレーションを見比べてみると、

  • 600cc・・・約160kg
  • 1000cc・・・約165kg

※但し、あくまで最低重量となりますので、実際普通の1000ccのバイクの重量はもっと重くなるでしょう。

2.最高速は約30〜40km/h違う


鈴鹿サーキットのバックストレートを参考にすると..

  • 600cc・・・約250〜260km/h
  • 1000cc・・・約280〜300km/h

最高速の差だと30〜40km/hの差があります。
そうなると次のコーナーへの減速も大きく取らないといけなくなるため、より強いブレーキングも必要になるなど、600ccの時とはライディングも大きく違ってきます。

3.物理的限界への到達スピード

少し加速力と関係してはいますが、少し分けて考えさせていただきます。

1000ccのバイクはコーナリングの限界速度への到達スピードが早いともいえます。

例えば物理的に100km/hで通過できるコーナーへ向かう際に手前のコーナー立ち上がりを60km/hから加速したとします。

  • 600ccの場合・・・80km/hでコーナーに侵入するため、減速は必要ない
  • 1000ccの場合・・・120km/hまで加速するため、100km/hまで減速する必要がある。

極端なことを言えば600ccの場合、次のコーナーを惰性で曲がれることになりますが、1000ccのバイクだとしっかり減速する動作が必要となります。
このブレーキング動作が反対にライディングを難しくする場合もあるため、より一層1000ccのバイクが難しく感じる点だと思います。

4.加速力(G)

引用:https://www.honda.co.jp/CBR1000RR/

低回転からの加速はそんなに大きな違いを感じませんでしたが、高回転(8000回転以上)からの加速は大きく感じましたね。

特にコーナーをいい感じのスピードで脱出した時の加速はエンジンの回転数が高くなるため、そこからの加速はより一層加速Gを感じます。

5.コーナリングスピードは600ccの方が早くなる


コーナリングスピード(旋回スピード)は600ccの方が早いという印象を受けました。

ただ、1000ccのバイクはスリックタイヤのため、しっかりと荷重をかけるとよりグリップするでしょう。そのため、タイヤの性能面だけを見れば旋回スピードは600ccよりもグリップするとも言えます。

ただ、600ccと1000ccでは走らせ方が変わってきます。

  • 600cc・・・コーナリングスピードを高くし、車速を維持する
  • 1000cc・・・コーナーはしっかりと減速して直線的に加速する

そのため、600ccの方がコーナリングスピードを維持した走り方になるため、コーナリングスピードは600ccの方が高いとも言えるでしょう。

6.電子制御


1000ccのバイクはトラクションコントロールやオートシフターなど、最先端の電子制御が付いています。
特にトラクションコントロールシステム(TCS)は走行中に強弱の切り替えもできるため、走りながら最適な設定を考えないといけないこともあります。

600ccのバイクは、シフターは付いているものの、今のところそれ以外は全てアナログであるため、走行中に操作する必要はありません。

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見た目は同じでも600ccと1000ccのバイクは大きく違う

上記でご紹介した項目を見比べると600ccと1000ccでは同じ部分があまり見当たりませんね。そのため、全く違うバイクと言っても過言ではありません。

ただ、今回は違いをご紹介させていただきましたが、どちらが優れているということではなく、それぞれのクラスに特徴があるということを覚えておいて欲しいと思います。

このような違いを知った上でレースを観戦すると、また違った面白さを発見することができるかもしれませんね!

実際に1000ccのバイクに乗ってみた感想はこちら↓

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この記事を書いた人

19歳から約10年間バイクレースをする/鈴鹿4時間耐久レースクラス優勝/全日本選手権フル参戦経験あり
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