ライダーハウスは低料金利用できるのが魅力です。
営業しているのが不思議に思うほど良心的な場所もあるでしょう。
この記事では実際に10年以上ライダーハウスを経営していた筆者(@hatinoyado)が、営業の裏側について解説します。
ぶっちゃライダーハウスの経営って、
- ライダーハウスってやっていけるの?
- ライダーハウスって儲かるの?
- ボランティアじゃないの?
という疑問もあると思います。
結論から言うと、もちろんライダーハウスでも営業は成り立ちます。
そのため、そのあたりを詳しく解説していくとともに、ライダーハウス経営に興味がある人に知っていただきたい経営のコツについてもお話しさせていただきますね!
ライダーハウスの経営について考える前に
経営についてご説明する前に、まずライダーハウスの定義を知っておいて欲しいと思います。
ライダーハウスとは法的に定められた存在ではなく、コンセプトとして生まれたものだからです。
ライダーハウスの始まりは、北海道の農家がライダーの為に納屋を貸し出したことから始とも言われています。
ライダーハウス-Wikipedia
バイクブームと共にライダーハウスの数は増え、使わなくなった倉庫をライダーハウスとして貸し出す所も増えました。
そのためライダーハウスのことを「違法に営業している宿泊業」と捉える方も少なからずいます。
確かにライダーハウスの中には、違法の物件で営業されている所もありますが、必ずしも
ライダーハウス=違法
と言うわけではありません。
ここでは合法的に届出がされたライダーハウスの経営について解説させていただきます。
合法的にライダーハウスを経営するには
ライダーハウスを合法的に始めるには、旅館業法に従って「簡易宿泊施設」の認定を受けるか「民泊」の申請をしなければいけません。
もしくは無料で始めることです。
詳しくはこちらで説明していますので、興味がある人はぜひご一読ください。
ライダーハウスの経営
ライダーハウスの経営には、特別な資格は必要ありません。
誰でも開業できますし、さらに上手くいけば初年度から黒字を出すことだって可能です。
ここでは経営に必要な
- コスト
- 労働力
- 利益
について解説します。
開業にかかる資金・運営コスト
ライダーハウス開業にかかる資金は、通常の簡易宿泊所開業に比べて低く抑えることができます。
これからいくつかの開業に必要な経費を説明させていただきますが、大きな資金を投じるリスクを背負うようなビジネスモデルではないことが前提となります。
物件にかかる資金
ライダーハウスの中で最もかかる費用が大きいものは物件です。
ライダーハウスのイメージは、ドミトリー形式で最低限の衛生面というもの。お客さんもそれは分かっていて、ライダーハウスが低料金で利用できるメリットを重要視してくれます。
もちろん綺麗で個室も充実しているライダーハウスがあれば最高ですが、ライダーハウスの利用料金は高くても2,000円ほど。
開業に資金がかかってしまうと、その回収にも時間がかかってしまいます。ライダーハウスは安く始めて、早く回収できるビジネスモデルと思ってください。
「失敗しても、家賃と考えればいい」ぐらいのコストに抑えましょう。
内装にかかる費用
物件の次に必要なのが内装にかかる費用です。
消防法や旅館業法を遵守した施設にするには、業者に発注して工事をすることになります。
物件が民家だった場合など、内装の費用は大きくなります。
なぜならトイレを増やしたり、消火設備や防火設備を設置するなどをしなければならないからです。
その場合はDIYでできることではありませんので、業者にお願いすることになるでしょう。
開業する前に資金がショートしてしまわない為には、見切り発車で発注するのではなく、消防署、保健所と業者の担当者と共に行き、あらかじめ総経費を算出しておくべきです。
その他の費用
物件さえ整ってしまったら、大きな資金は必要ありません。布団や洗濯機などを必要に応じて購入します。
20〜30万ほどあれば、開業に必要な物は揃えることができるでしょう。
具体例:中古の一軒家を購入して始める場合
可能な限り安く始めたいのであれば、田舎にある中古の一軒家を購入して始めるのがお進めです。
- 物件・・・50〜100万円
- 工事費・・・150万円
- その他・・・20万円
このように300万以下に抑えることができれば、心理的な負担も少なくなります。
反対に一軒家のデメリットは、田舎ですので、他に仕事を見つけることが難しくなります。となると、ライダーハウスでの収入に頼らざるを得なくなります。
しかしライダーハウスの収入だけで生活するのは正直なところ難しいので、1本だけに絞るのはあまりおすすめできません。
物件の購入が不可能であれば、借家をしている大家さんと直接交渉をしてみましょう。
限りなく少ないコストで開業させることもできるかもしれません。
具体例:元旅館や病院などを使って始める場合
廃業した旅館や病院などを使ってライダーハウスを始めるのもおすすめです。
最大のメリットは、内装工事にお金がかからなくなること。デメリットは物件の値段そのものが高くなること。
- 物件・・・500万円
- 工事費・・・50〜100万円
- その他・・・20万円
このような物件だと工事費は抑えられますが、建物自体の値段は高くなります。
ポイントは1人で回せるぐらいの大きさの物件にすることですね。
なぜならライダーハウスの経営では従業員を使うことはほぼ不可能だからです。
ネットで検索すれば、意外と廃業した元旅館などもすぐに見つけることができますよ。
ランニングコスト
ライダーハウスのランニングコストは他の宿泊施設と比べて比較的安い方でもあります。
一般的な宿泊業であれば、リネンなどのクリーニング代にお金がかかってしまうところですが、ライダーハウスであれば必須ではありません。
もちろん、清潔なシーツや枕カバーなどの寝具はあったほうがいいですが、ライダーハウスならば追加料金として設定したほうが喜ばれます。
ライダーハウスのお客さんはライダーハウスに清潔感ではなく安さを求めていることが多いからです。
水道光熱費
水道光熱費はお客さんの数に応じて増えていきます。
問題になるのはシャワーやお風呂。
使い放題にしてしまうと、とんでもなく消費する人が出てきますので、これらも別途料金を設定し、ライダーハウスの基本利用料は低く抑えた方が良いでしょう。
他に問題なのは暑い夏の日のクーラー代や、寒い季節の暖房費ですね。
これは設置すると無制限に費用がかかってしまいますので、注意が必要です。別料金を設定する、もしくはあえて設置しない方がいいでしょう。
ごみ処理代金
ライダーハウスを経営していて、一番労力が必要なのがごみ処理代金です。
一般のごみステーションに持っていくのも良いですが、お客さんが増えるほどごみの量は増大していきます。
しかしそれでは一般家庭のようなごみの日に出すのでは、必ず追いつかなくなってしまうので、専門のごみ処理業者に依頼することになります。
家賃
賃貸でライダーハウスを経営する場合、家賃もランニングコストに加わります。
もし、高額な家賃(例えば10万円)の物件を借りているならば、ライダーハウスの利用料に反映しなければいけません。
料金を上げるのはライダーハウス経営にとって難しい問題です。
例えば5,000円の宿泊費の旅館が5,500円に値上げすることより、利用料500円のライダーハウスが1,000円に値上げする方がインパクトが大きいのです。
値上げはお客さんが一気に離れてしまうリスクに繋がるため、家賃設定はとても重要です。
ランニングコストまとめ
ライダーハウスのランニングコスト自体は比較的安いとも言えるでしょう。
一般家庭にプラスαしたような金額で経営できます。
シャワー、洗濯機、冷暖房などは別途料金を設定しておけば、ランニングコストに頭を悩ませることはありません。
必要な労働力
筆者の場合、労働力として人を雇いたくなったことはありませんでした。
特に一番人手が必要なのが布団の上げ下げ。
しかし連泊者が増えることで、やらなくてもよくなることもあります。毎日彼らの布団をたたむことはしなくてもいいですからね。
感覚としてはだらしない子供の部屋の掃除に近いです。
最低限の衛生面が整っていれば、自分から掃除することもありません。新規の人が入れるぐらいにキレイにしてさえいれば大丈夫です。
労働力が欲しくなったときは、大体の場合連泊者が助けてくれます。実際大掃除や洗濯、新しいライダーの案内など、沢山助けてくれました。
反対に管理人は「管理人しかできないこと」をするだけです。
例えば、誰かが捨てたと思われるごみは連泊者が判断できることではありません。「これはゴミ!」と自分が判断して捨てていきます。
シーツの洗濯や、ごみの分別など、やろうと思えば雑用は無限にありますが、利用料金を下げるためには、あえてやらなくていいことはやらないようにする必要があります。
ライダーハウスの経営では、衛生面よりも大切なことがあります。
それは「楽しい空間を作る」こと。
それが出来ていれば、掃除やごみの分別は自然と利用者が手伝ってくれます。
損益分岐点
ライダーハウスの経営で気になっていたのは損益分岐点でした。かかった経費と収入のバランスに注意していたのです。
しかし、それは最初の2年目ぐらいまで。
これまで説明した通り、ライダーハウスの経費は極限まで削ることが可能です。
それこそ、自分の生活費にちょっと足したような感覚でした。20人が生活する環境でも、水道代や電気代が20倍になるわけではありません。
例えば、利用者がたった1人でも「家賃の足しになるな」と思えるのです。
ライダーハウスにすべての時間や労働力をかけるのは間違いです。
それよりも、副業感覚でいるほうが精神的に安定しますのでおすすめですよ。
最盛期と平常時と閑暇
もちろん場所にもよりますが、私の住んでいる北海道では、7・8・9月にピークが来ます。
冬の間にスキーやボーダーがいれば収入になりますが、暖房費もかなりかかってしまうので、冬はほとんどお金になりません。
5・6・10月が準備期間、10月は冬の準備でした。11〜4月はアルバイトをして現金を稼いでいました。
連泊者が増えることで労力は少なくなる
連泊者が手伝いをしてくれることについて、もう少し深くお話しさせていただきます。
連泊者の中でも悪い連泊者がいるのも事実。この悪い連泊者のことをライダーハウスでは「ヌシ」と呼ばれ、忌み嫌われています。
ヌシは管理人のような顔をし、新規や年下を見下す傾向があります。
そして自分勝手にルールを作り、それを強制します。ヌシの発生を防ぐには、管理人がライダーハウスに住むしかありません。
管理人がヌシを排除し、ライダーハウスに協力的な連泊者を味方につけることができれば、それから労力はグンと少なくなります。
ライダー同士でゴミの清掃、酒の管理、女性への取り扱いなどルールが生まれます。そのルールこそライダーハウスの価値であり文化です。
協力的な連泊者を見つけることが、ライダーハウス経営のキーポイントでしょう。
ライダーハウスの売り上げの具体例
私の例を上げて、実際の収益をご紹介したいと思います。あくまで一例として参考にしてみてください。
初年度
2年目
4年目
5年目
利用料金500円で最大20名の場合
筆者の場合、場合自体の利用料金は500円でした。そして家賃が3万円、電気、水道代はピーク時で3万円ほどです。
そして、7月から9月までのピーク時には、20名前後の連泊者がいました。毎日1万円ほどの収入がある計算です。
それだけのお客さんを集めて、月30万円ほどの収入ですので、あまり美味しい仕事ではないと言えるでしょう。
ですが、その代り自由になる時間は多く、労力もあまりかかりません。
敷地内で居酒屋やカヤックガイドも行っていましたので、ライダーハウスの集客力に助けられました。
1泊1,000円でやっていた1件目のライダーハウスです。
2年目になり集客が増えていますが、これは雑誌に掲載してもらった効果でしょう。
いまではSNSやライダーハウスを紹介してくれるサイトに登録することで、全体的なかさ上げにつながります。
冬に連泊するスキーヤー、ボーダーがいますが、暖房費の関係であまり利益にはなりませんでした。
以上のデーターから、初年度からの2年目の伸びが特徴的なことが分かると思います。
そして、ピーク時にはキャパシティの限界を迎え、収入はすぐに上限を迎えてしまうでしょう。
利用料金1,000円で最大10名の場合
話は変わって最初にやったライダーハウスは利用料金1,000円でした。
比較的都市部にあったので、この利用料金でも需要はかなりあったと思います。物件も大きくなく最大で10人ほどでした。
それでもピーク時には1日1万円の収入になります。
そのかわり、連泊者が少なく、労力がかなりかかりました。毎日のように布団を上げ下ろしすると、腰を中心に負担がかかります。
つまり、500円で20人入る物件の方が、ライダーハウスとしては有利だといえます。
利用料金が安いと利益が少なくなりますが、相対的に集客力は向上しますので、結果としてあまり差はありませんでした。
ライダーハウスの客層
ライダーハウスの客層は利用料金と比例します。
高ければ高いほど行儀の良い、クレームも言わないお客さんが増えるでしょう。では、なるべく利用料金を上げた方がいいのかと言うと、必ずしもそうとも言い切れません。
ライダーハウスである以上、利用料金を上げることはリスクが高く、経営が成り立たなくなる可能性があるからです。
可能な限り低料金に設定し、悪質なお客さんがいれば出入り禁止にする気構えで経営しなければいけません。
悪質なお客さんを排除し続けて行けば、連泊してくれる協力的なお客さんがやってきてくれます。それまではしばらく我慢の時期になるでしょう。
私の場合、1年に1〜2人の悪質なお客さんを出入り禁止にしていました。
他人に迷惑をかける彼らを追い出すことによって、ライダーハウスの評判が上がったのが実感できました。
時期によって変化する客層
時期によっても客層は異なります。北海道の場合、ライダーハウスのシーズンは5月から始まるのですが、それぞれ特徴がありました。
- 5月:GWに少しだけ来てくれるサラリーマン
- 6月:気の早い旅人中心、一緒になって遊ぶので仲良くなれる
- 7月:旅人のシーズン、キャラクターが濃く、連泊も多い
- 8月:大学生とお盆休みのサラリーマン、酒のトラブルが多い
- 9月:旅人シーズン、北海道にハマっている人が多い
- 10月:アルバイトで最後まで残った人たち
特に注意するべきは8月のお盆シーズンです。
サラリーマンの連休を使ってやってきてくれる人の中には、仕事のストレスからの解放感でついつい羽目を外してしまう人も少なくありません。
宴会などでは飲みすぎている人をじっと注意して見ておく必要があります。
オーナーのキャラクターによって変化する客層
客層はオーナー管理者のキャラクターによっても変化します。
私の場合、漫画やアニメが好きで利用者とよく話をしていました。すると同じ趣味の利用者が増えるのです。
つまり、ライダーハウスだからこそ、自分のキャラクターを前面に出すべきなのです。
ただベッドが置いてあるような、無個性な空間では面白くありません。利用者も満足しないでしょう。
自分の個性、自分の趣味、自分の考え、つまりは自分自身を思いっきり前面に出すことで、自分とフィットした利用者がやってきてくれます。
ヌシと経営
ヌシに関しては注意が必要です。
管理者の様に振る舞い、新しいお客さんを見下すような存在は、徹底的に排除しなければいけません。
ですが、連泊してくれる利用者こそがライダーハウスの雰囲気やルールを作ってくれるので、ヌシとの区別はつきにくくなります。
「他人に迷惑をかけているかどうか?」というラインを設定し、それを超えてしまった場合にマークするようにしていました。
連泊者は経営にとってかけがえのない存在なのですが、ヌシにならないようにとにかく注意しなければいけません。
キーパーソン
ライダーハウスのお客さんは、他のライダーハウスからやってくることがほとんど。
そのため、他のライダーハウスにチラシを置いてもらう事が重要ですが、キーパーソンの存在も欠かせません。
ライダーハウスでは利用者同士の交流により、盛んに情報交換が行われます。
その中に、自分のライダーハウスを利用してくれるキーパーソンがいれば、何よりの広告になります。
具体的には、5月と6月など、早めに来てくれた利用者と徹底的に遊びました。
自分の引き出しをすべて使って、採算度外視でおもてなしをするようにしています。
そうすることで、彼らはキーパーソンとなり、7月8月に新しいお客さんを連れてきてくれるのです。
労働者と一般客
ライダーハウスを経営していくと、必ず連泊者と一般客の2つに客層が別れます。
それはどうしようもない事であり、無理に両者を交流させようとしても意味がありません。
連泊者はアルバイトなどに通う生活の基盤としてライダーハウスを利用し、一般客は観光やツーリングのベースとしてライダーハウスを利用しています。
両者のテンションや目的は全く異なるものであり、どちらもライダーハウスの経営には欠かせない存在です。
副業としてのライダーハウス
ライダーハウスを副業とするならば、どのようなコストや労働力が必要なのでしょうか。また、ピーク時にヘルパーを雇う必要などを解説します。
閑暇期に仕事をする場合
最初はお客さんのいない冬の時期にアルバイトをするかもしれません。これは安定した収入を得るだけでなく、気分転換にもなるのでおすすめです。
季節のアルバイトになるので業種は限られており、スキルアップや時給アップは期待できませんが、ライダーハウス経営を忘れて仕事に打ち込むことに価値があるのです。
実際筆者の場合は来年の夏の計画などをゆっくり練ることができました。
飲食店とライダーハウスを併業する場合
私は2件ライダーハウスを経営し、そのどちらでも飲食店をやっていました。
そこは居酒屋だったのですが、そこで2,000円以上使ってくれたら利用料を無料にするなど、複合的なサービスが可能になります。
旅館業法に適合した施設ならば、飲食店の開業はそれほど難しいことではありません。
資格も必要なく、1日ほど保健衛生管理者の講義を受ければ飲食店の開業が可能です。
何よりのメリットはお客さんの胃袋を掴むことができること。「ここに来たのならこれを食べなきゃ!」と言われるようになれば、ライダーハウスの集客にも繋がります。
バイクショップとライダーハウスを併業する場合
いくつかあるライダーハウスの中には、バイクショップが併業している所があります。
バイク屋をやるくらいなら、ライダーハウスも一緒にやった方が利用者も運営者も特することもあるのです。
バイク屋であれば、ライダーハウスに泊まりにきた人がバイクの消耗品やパーツを交換する需要が生まれるのです。パーツを取り寄せるまで連泊してくれるメリットもありますね。
バイクの知識が無いのなら、近所のバイクショップと連携するのもアリですね。
バイクショップの方からも、バイクが動かなっくなったライダーが緊急で宿泊するところとして紹介してくれることもありました。
このように、ライダーハウスとバイクショップはとても近い存在ですので、必ず密接な関係を結んでおくべきだと言えますね。
アウトドアガイドとライダーハウスを併業する場合
旅館やホテルなどの追加プランで、アウトドアガイドツアーを紹介するシステムをご存じでしょうか。
あのシステムはライダーハウスでも有効です。
地元の綺麗な場所、地元民でしか知らない場所を案内するのは、他の土地から来た人からとても需要があります。
私はカヤックガイドを併業していましたが、安全にさえ気を付けることができれば、アウトドアガイドはライダーハウスと併業するのに相性がとても良いんです。
例えば、林道ツアーや、絶景スポットツアーでもいいでしょう。
そこでしか見れない景色を案内することが出来れば、それはライダーハウスの売りとなり強い武器になるでしょう。
サラリーマンの副業としてライダーハウスを経営する場合
ライダーハウスは運営時間を割り切ることができれば、サラリーマンの副業としても経営できるでしょう。
利用料金を安くし、サービスを徹底的に排除するやり方です。
例えば、
- 電話での予約を辞める
- 仕事中にライダーハウスの業務を一切しない
などの方法があります。
ほかにも、メールか直接来る人だけに絞って案内は連泊者に任せる、ヘルパーを雇う、利用案内を動画にしてYoutubeなどで見てもらうなどにすれば大丈夫です。
これはスマホ時代の今だからこそ可能な経営方法ともいえるでしょう。
フリーランスをやりながらライダーハウスを経営する場合
現在はネットからお金を稼ぐ方法が増え続けています。
その手の副業を紹介するサイトも山ほどあるので、参考にしてみてください。私もライターとしてほぼネットだけで収入を得ています。
また、ブログなどもライダーハウスと非常にマッチするコンテンツを作れます。
グーグルマップに登録し、毎日ライダーの写真や彼らの人生についてインタビューするだけでも、かなり面白いコンテンツができました。
ブログにアドセンス広告をつけることで、毎日数百円ほどの収入も入りました。ぜひ、ライダーハウスをやるならばやってみてください。
ライダーハウス経営に必要なネットワーク
ライダーハウス経営では、いろいろな人たちとネットワークを形成しておくべきでしょう。
特別親密にする必要はありませんが、少なくともこちらの存在を相手に伝えておくべきだと思います。
そのため、自分の名刺を作ってばらまいておくみたいな感覚でやってみるといいかもしれませんね!
他のライダーハウスやゲストハウス
他のライダーハウスやゲストハウスは経営の生命線です。
なぜなら他のライダーハウスでのお客さんの噂によって集客に大きな差が生まれるからです。
私も隣の地区からお客さんを紹介してくれたという事が何度もありました。こちらからおすすめすることもあります。
なるべくなら自分で訪問して「自作のフライヤーを置かせてほしい」とお願いしたほうがいいでしょう。
デザインに凝る必要もありません。
経営が始まってしまってからでは、他の同業他社を回る時間がなかなか取れませんので、できれば始まる直前にやっておくべきです。
地元のバイクショップ
先述しましたが、地元のバイクショップとは密接に絡むことになります。
お互いのメリットを最大限にするためにも、仲良い関係を作った方がいいでしょう。
ライダーの中にはバイクを半壊状態にする人もいるので、その様な時にはバイクショップとの連携があると効果的です。
市役所や町議
市役所の「観光課」などがあれば、そこに名刺をもっていくといいでしょう。
英語しか喋れないお客さんを紹介してくれたり、とにかく安い宿を探している人を紹介してくれたりなどしてくれます。
さらに、ライダーハウスはピーク時には周囲から異様な光景となります。バイクが何台も連なっていて、毎晩宴会で楽しそうな雰囲気を振りまくからです。
そのため妖しい施設と目をつけられる前に、こちらからご挨拶したほうがいいでしょう。
そう考えると、地元の議員と話を通しておくのもおすすめです。
ライダーハウスを地域復興の1つとして説明しておけば、他の住民やクレームなどの処理にも助けてくれます。
農家や地元産業
田舎にあるライダーハウスならば、農家や地元産業との連携は効果大です。
アルバイトを求めている旅人などを紹介することができ、彼らが連泊してくれることでこちらの集客にも繋がります。
農家や地元産業の人から見ても、人手が欲しい急がしい時期に人手を紹介してくれるのは助かるようです。
派遣会社などの高い給料を支払わなくてもいいので、win-win-winになる関係を構築することが出来ます。
警察
最寄りの派出所や警察と連携を取っておくのはおすすめです。
なぜならライダーハウスでは、ごくたまに犯罪者に利用されることもあるからです。
指名手配犯が出た場合、刑事がやってきて「この男が来たら知らせてください」と言ってきます。最初は驚きましたが、かなりの頻度でやってくるので慣れました。
また、ライダーが危険物をを持ち込んでライダーハウスが閉鎖になるなんて例が過去にあります。
その様な場合は警告なしで警察に相談すると公言しておくといいでしょう。
SNSでの繋がり
ライダーハウスを経営するならば、SNSは必須のツールです。
アカウントを作って毎日投稿し、お客さんになってくれそうな人に「いいね」を押すのは仕事とも言えるでしょう。
旅人ならば、その人の現在地を知ることが出来ます。
いいねを押して、もしよかったら来て下さいと営業するのも効果的です。SNSで誠意のある発言をしておけば、集客はこれだけでも充分です。
一度つながった相手ならば、その後の旅の経過をしることができますし、物理的な距離を感じることがありません。その様な縁がまた次のシーズンの集客につながるのです。
ライダーハウスの経営戦略
ここからはライダーハウスの経営戦略をまとめて行きます。これまで述べた内容もありますので、簡潔に記述していきます。
料金が安ければすぐに軌道に乗る
ライダーハウスのビジネスモデルは「とにかく安く、サービスは最低限」です。
あまり儲かる商売ではありませんが、そのかわりすぐに軌道に乗せることができます。
オーナーの最大の仕事はトラブルメーカーの出入り禁止命令
掃除や洗濯、ごみ出しやお客さんの案内など、可能な限り連泊者にお願いするといいでしょう。
そのかわり、オーナーでしかできない仕事をするべきです。
特に大事なお仕事は、トラブルメーカーの出入り禁止命令です。もうこれができるのはオーナーしかいませんからね。
地元の労働者ニーズに対応する
短期アルバイトを探している地元の人とは繋がっておきましょう。利用者は収入を得られ、ライダーハウスは連泊者を確保できます。
連泊者と一般客の共存
寝る場所の配置などで、連泊者と一般客をなるべく分けるべきです。両者の空気は全く別物ですので、無理に交流させることはできません。
アルコールと女性
宴会は愉快なものですが、ブレーキをかける役目はオーナーの仕事です。
消灯時間を設定し、それを破ったら出入り禁止にするなど厳しくしなければいけません。
度を過ぎた人が現れると、ライダーハウスの存続すら危うくなる事件が起こってしまうからです。
また、酔っぱらうと心配になるのが女性への過度なアプローチです。
恋愛とストーカー行為の基準は判断が難しく、酒が入ってトラブルが発生することも少なくありません。
男女の出会いの場になるのは嬉しいのですが、どうしてもすれ違いが生まれてしまうようですね。
ライダーハウスではアルコールと女性が原因の事件がとても多く、オーナーは常に注意をしなければいけません。
食事と睡眠
食事と睡眠は人間に必要なもので、どのようなスタイルで提供するかが腕の見せどころとも言えます。
食事としては私は居酒屋を併設していましたが、ほかにもBBQができる設備を備え付けるなど、全員が楽しく食事できる環境を用意すると良いでしょう。
睡眠はライダーハウスですので、おざなりになりがちですが、最低でも0時以降は熟睡できる環境を整えなければいけません。
寝不足で次の日を無駄にしてしまうなど、ライダーの時間を奪ってしまうことになります。
基本的にライダーハウスは睡眠できる場所を提供している商売です、眠れる環境でなければ利用料を頂くわけにはいきません。
世代別交流
少し悩ましいのですが、世代別の交流も期待しないほうがいいでしょう。
寝る場所はなるべく
- 若者
- 中年
- それ以外
に分けていました。
特に20代の若者とバイクブームを経験した60代との交流は難しく、強引に一緒にしても落ち着きません。
やはり若者は若者同士、そうでない人は、そうでない人同士でいた方が話が弾み楽しくなるようです。
コミュニケーション能力に長けた人だけが世代の壁を超えて交流していた印象です。
ライダーハウスとしては、そのようなコミュニケーション能力の高い人に全てお任せしてしまう方が得策です。
無理に交流させても、メリットはありませんからね。
全員が仲良くなくてもよい
ライダーハウスの文化として、初対面でも仲良くなれることがあります。しかし、それは強制ではなく、あくまで自然の流れで行われるべきです。
どうしても仲良くできないキャラクターの人はいますし、静かに一人でいたい利用者もいます。仲良くするようにと強制しても苦痛を与えてしまうだけです。
ルールが作られればやることは無くなっていく
ルールは必要ですが、なるべく単純で少ないほうがいいでしょう。なぜなら新しく利用する人が利用しやいから。
筆者は「他人に迷惑をかけない」を唯一のルールとしました。
もちろん、消灯やごみの分別など、細かいルールはあるのですが、それは違反した人が現れたら注意するためのものを考えておいてもいいかもしれません。
利用者に覚えておいてほしい重要なものを1つ決める方が効果的ですね。
協力的な連泊者が現れたら、彼らが快適な空間にするためのルールを作ってくれます。
そんな自然発生的なルールが好ましいといえます。自分で作ったものではないので、守らせる労力が必要なくなるからね。
ライダーハウス経営に向いている人
ライダーハウスの経営は誰でもできますが、やはり向いている人、向いていない人がいると思います。
単純にお金を稼ぎたい人は、他のビジネスをするべきでしょう。
反対に向いている人は、
- 人に何かするのが好きな人
- 面白いことが好きな人
- 経済的に切迫していない人
- プライベートがあまり必要ない人
となります。順にご紹介していきますね。
①人に何かするのが好きな人
ライダーハウスの経営は、ボランティアに通じるものがありますので、人に何かしてあげるのが好きな人ではないと、継続できません。
ある意味経営者としては失格なのかもしれませんが、損得勘定が常に働いてしまうと、利用者に対して冷たく厳しい態度を取ってしまうこともあります。
かといってやりすぎるのも良くありません。
赤字は最低限に抑えるべきです。頂いた利用料以上のサービスをし過ぎないようにバランスを取るのがライダーハウス経営のコツと言えます。
②面白いことが好きな人
ライダーハウスは個性の塊でなければ集客できません。
個性を出せば話題になり、話題になればなるほど、集客力は強くなっていきます。
利用者と一緒になって、何か面白いことができないか考えていくのもライダーハウス経営では必要です。
ただ遊んでいるだけかもしれませんがwwそれくらいがいいかもしれませんね。
③経済的に切迫していない人
もし、借金を抱えてライダーハウスを起業し、利用料で返済しようとしているなら、止めた方がいいでしょう。
おそらく失敗してしまうからです。ライダーハウスで得られる現金収入は乏しく、どんなに集客しても経済的に豊かにはなれません。
④プライベートがあまり必要ない人
ライダーハウスの敷地内で生活するとさまざまなメリットがあります。
トラブルに対応できますし、家賃も経費としてかなり組み込めるからです(税法上の問題なので自己責任でお願いします!)。
その代り、プライベートはかなり無くなります。ほとんどゼロと言っていいでしょう。
自分の全てを見られても構わないという人が、ライダーハウスの経営には向いています。
ライダーハウス経営の未来
ライダーハウス経営に未来はあるのでしょうか?
確かにバイクブームが去ってからライダー人口は減っています。
しかしライダーハウス自体が珍しく、コアなファンが付きやすい傾向もありますので、充分に未来はあります。むしろ、他の宿泊業よりも可能性があるともいえるでしょう。
ほかにもライダーハウスは市場経済的に宿業が成り立たないと思われる、何もない田舎でも経営できます。
そのあたりを詳しくお話しさせていただきます。
ライダーハウスの存在意義
ライダーハウスを10年以上経営していると、ライダーハウスの存在意義を知ることが出来ました。
ライダーハウスは、
- 若者を集めて地域を活性化する
- 生産年齢の人間を集めて労働力ニーズに答える
- 何もない地域の拠点になれる
という存在意義があります。
若者を集めて地域を活性化する
ライダーハウスは安い利用料金を武器に若者を集めることができます。
彼らのエネルギーは言葉では上手く表せません。地方自治体が掲げる「地域の活性化」をライダーハウスは実行することができます。
そのため、地方自治体によってはライダーハウスの招致を好ましく思っているところがあります。地方自治体が運営するライダーハウスもあるぐらいです。
生産年齢の人間を集めて労働力ニーズに答える
ライダーハウスが生まれた北海道では、ライダーハウスは農家の労働力を募る場所という存在意義があります。
作る作物によりますが、ライダーハウスのピークである7月後半から9月は、農家が生産物を収穫する時期と重なります。
旅人も旅行資金を蓄えるため、そのような仕事を探しているんですよね。
人材派遣の会社を通せば時給1500円かかるところでも、直接契約なら中間搾取も無くwin-winの関係を結べるでしょう。
何もない地域の拠点になれる
私の営業していた地域では、今でこそ観光地として有名になりましたが、以前は素通りする場所と言われていました。
開業前にいろんな人に相談したのですが「ライダーハウスの営業は難しいね」と誰かに相談するたびに言われました。
ですが、始めてみたらお客さんには「良い場所にある」と喜ばれます。
理由は「丁度いい中間地」との事でした。東西南北に走り出したり、都会に行ったり山に行くのにも、すべてに中途半端な場所だったのです。
ライダーハウスに価値を見出すのはお客さんであり、経営者ではありません。
何もない場所だからと悲観しても何も始まらないのです。始めてしまえば何もない地域でも新しい拠点として、その地域の代表となることができます。
形の無いものだからこそいろいろチャレンジできる
ライダーハウスはただのコンセプトであり、決まった形はありません。
これは大きなメリットであり、自由に使うべきです。
筆者はもともとカヤックのガイドになろうとして、ライダーハウスの経営者になりました。
ライダーハウスを集客として利用しようと思ったんですね。
実際に始めてしまうと、カヤックは趣味になっていき、ライダーハウス経営者の割合が大きくなりました。
飲食店も併業しましたし、工場勤務も同時に行いました。
お客さんを連れたイベントも積極的に行います。裁判傍聴やパラグライダーツアーにもライダーを連れて行きましたし、登山や歴史資料館巡りも行いました。
その間にお客さんが来ても、連泊者が案内してくれるので電話にすら出る必要はなくなりました。
いろいろやったイベントはお客さんに喜ばれ、今の自分の仕事にも繋がりました。ライダーハウスの経営のコツは、ライダーハウスの利用料で生活することではありません。
ライダーハウスというシステムを作り上げて、なるべくノータッチでいることです。
そうなってくると、自分の時間が増えますので、日中ほとんどライダーハウスにいないなんて状況もありました。
このように、一度ライダーハウスが軌道に乗れば、遊びや他の仕事をしたり勉強することもできます。
時間的余裕を持つことが出来れば、新しいチャレンジを行えるでしょう。
ライダーハウスのオリジナリティ
どんなに素晴らしい商品やアイデアも、資本主義経済ではすぐにコピーされ、その価値が薄れていきます。
そのため、生き残るにはオリジナリティが必要です。
宿泊業は寝るだけの場所と捉えると、競争で潰れていくでしょう。
これから民泊やゲストハウスのオーナーはオリジナリティを出すことに苦心する時代になると思われます。
ライダーハウスはその悩みとは無縁です。
なぜならライダーハウスは、オリジナリティが集まったお客さんが勝手に生み出していくからです。
経営者の仕事はオリジナリティが生まれるまでの道筋を作り、トラブルメーカーを排除することが仕事になります。
信用経済とライダーハウス経営
信用経済とは「貨幣の代わりに信用が価値を持つ」という経済用語のことです。
ものすごくざっくり言うと、ツイッターのフォロワーが多い人ほど発言力が強いですよね、これが信用経済です。
ライダーハウス経営の副産物には信用があります。
ライダーハウスを経営することで、多くの感謝をされるのです。信用という売り上げにはないメリットが存在します。
具体的には冬の仕事の紹介や、誠実なお客さん、情熱を傾ける対象に時間を費やすことなどです。
これらはすべてライダーハウスをやっていた信用がもたらしてくれました。
まとめ
ライダーハウスは儲かるのか?という質問をされたら、正直に言うと「儲かりません」と答えるしかないでしょう。
お金だけを追い求めると、単純にアルバイトをした方が生活は安定します。
そのかわり、副業としてならライダーハウスはとても優秀です。
ライダーハウスの収益と費用は可視化しやすく、ささやかな黒字を吐き出してくれます。
トラブルメーカーさえ排除していけば、運営自体に労力はさほど必要ありません。
ライダーハウスの経営とは、お金ではなく自由を得る仕事だと思います。もし、質問などがありましたら、私のツイッター(@hatinoyado)などにお寄せ下さい。