バイクレースのスタートってどうやるの?種類や方法を徹底解説

レースの醍醐味でもあるスタートですが、実際やってみると、止まっているところから全速力で加速させるのって意外と難しいもの。

レースを始めたばかりで、スタートに苦手な人も多いのではないでしょうか?

というか、そもそもバイクレースのスタートってどんな方法があるのでしょう?

スタートが決まればレース展開を有利に運ぶことができるため、最初で大きな山場でもあります。もちろん観戦している人にとっては見所の一つでしょう!

そこで、

  • スタートの種類
  • スタートの方法
  • スタートを決めるコツ

といった内容を、実際に現役レーサーがスタート時に注意している内容を踏まえてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!

バイクに乗っていない人も、どうやってスタートしているのか知ることができれば、よりバイクレースが面白くなりますよ!!

目次

バイクレースのスタート方法は大きく分けると3種類

バイクのスタートシーン

バイクレースのスタート方法は大きく3つに分けることができます。

  • グリッドスタート
  • ルマン式スタート
  • ピットスタート

それぞれご紹介します!

グリッドスタート

グリッドスタート

引用

グリッドスタートは、メインストレート上に記されたグリッドにバイクを並べ、シグナルが消灯して全車一斉にスタートする方法のことです。

F1やMOTO-GPでも採用されているスタート方法で、最も馴染みがあるスタート方法とも言えます!

基本的に横3列で順に段々と並ぶ形となっており、予選の順位が良いバイクから順に前から並べていきます。

ちなみに1位のグリッドをポールポジションと呼び、ポールポジションを取ったライダーはポールシッターと呼ばれます。

ポールポジションの由来は、元々は競馬から来ており、遠くの観客席からでも先頭の馬が見えるように、1番の馬のところにポールを立てる習慣があったことからレースでも使われることになりました。

ポールポジションは一番先頭でスタートできるため、レースを有利に進めることができるでしょう!

グリッドスタートは、バイクが静止した状態から最大限の加速をさせなければいけないため、ライダーはスタートの技量が問われ、得意不得意が分かれる重要な場面でもあります。

どんなに予選の順位が良くても、スタートで失敗すればあっという間に下位に沈んでしまいます。

反対に、スタートが得意だと、予選の順位が悪くても挽回できるチャンスが生まれます!

スタート後のポジション取りについてはこちらの記事でも詳しく解説しています!↓

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ルマン式スタート

ルマン式スタート

引用

ルマン式スタートは、バイクをホームストレートのピット側に一列に並べ、ライダーは反対側の端に待機します。

そして、スタートとともにバイクへと駆けつけ、エンジンを始動させてから発進します。

このスタート方法は、

  • ライダーの足の速さも必要
  • エンジンがスムーズに掛かるかもポイント
  • 周りを見ていないと接触する可能性がある

と、非常に難しいスタートなんですよね!

そのため、いくら予選で順位が良くてもライダーの足が遅かったり、エンジンが掛かりにくくて大きくポジションダウン…なんてことも珍しくありません。

また、スタート直後は凄まじく渋滞するため、接触する危険性もあります。見ている側は非常にハラハラしますね!

ルマン式スタートは主に耐久レースで採用されており、8耐ではおなじみとなっていますね!

由来を調べてみると、もともと4輪のルマン24時間耐久レースで採用されたため、「ルマン式」と呼ばれるようになったそうです。

この「ルマン式スタート」は、現在の世界耐久選手権のルーツである1960年に成立したFIMエンデュランスカップではすでに採用されていたようですので、歴史は相当古いとも言えます。

ピットスタート

ピットスタート

引用

ピットスタートは、バイクにトラブルが出て決勝スタート進行時にグリッドに並べなかった時や、予選でペナルティを受けたバイクが行うスタート方法です。

ピットレーンの出口にバイクを並べ、通常スタートで発進したバイクが全車コントロールラインを通過した後にスタートするため、おのずと最後尾スタートとなります。

ライダーとしてはあまりかっこよくないスタート方法のため、できれば避けたいですね!

ホールショットとはスタートの1コーナーを一番速く通過した人

ホールショット

引用

バイクレースのスタートシーンで「ホールショットは〇〇選手!」と聞いたことはありませんか?

ホールショットとは、スタート後の最初のコーナーを一番速く通過した人のことを言います。

元々は射撃で的を撃ち抜くことをホールショットと呼んでおり、1コーナーを一番に撃ち抜く!という表現がピッタリだったというのが由来とされています。

レーススタートでのポジション取りは非常に重要で、特に1コーナーは予選で下位に沈んでしまっても挽回できるチャンスでもあります。

また、ホールショットを奪ったライダーはその後のレース展開をリードするために重要で、各ライダーにとっても最初で一番の難関でもあります。

バイクレースのスタート方法

バイクのスタート

スタートの種類をご紹介しましたが、どのようにスタートをすれば良いのでしょうか?

  1. グリッドスタートの方法
  2. ルマン式の方法

と、それぞれポイントをご紹介しますね!

1.グリッドスタート(ロードレース)のスタート方法

まずはストレート上のグリッドに並んで行うグリッドスタートの手順を4つのステップに分けて見てみましょう!

①グリッドに着く

ロードレースの場合は、ピットレーンからコースインし、コースを1周してメインストレート上のグリッドにバイクを並べます。

グリッドに並べる時に自分の位置がわからないなんてことがないよう、事前にグリッド表で場所を確認しておきましょう。

筆者はよく「〇〇列目の右、真ん中、左」といったように覚えておきます。

本格的なレースの場合、サイティングラップと言って、グリッドについてからもう一度コースをぐるっと一周回ってタイヤを温めたりできます。

この時も自分のグリッドに戻ってこられるように自分で目印を見つけておきましょう。

②1速に入れてクラッチを切る

スタートする時に忘れがちなのが、ニュートラル(N)に入っていたり、間違って2速に入ったままだったなんてこともあります。

そのため、グリッドに並んだらシフトレバーをガチャガチャと動かし、ちゃんと1速に入っているか確認しましょう!

万が一スタートでエンストを起こせば、後ろのバイクに追突される可能性があるので、確認は非常に重要です!

もし、エンストした場合は全力で手を振り、周りのライダーに伝えましょう。

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③エンジンの回転数を一定に保つ

クラッチを切って1速に入っているのを確認したら、スタートで一番加速するエンジンの回転数を維持します。

最近のバイクのスロットルは敏感になっているため、クラッチを切ったまま回転を一定に保つのは意外と難しいので、何度か練習しておくことをおすすめします。

④シグナルが消灯してスタート

ロードレースのシグナルは赤ランプで一旦全部点灯し、およそ3〜5秒の間で消えます。

シグナルが消えればその瞬間にスタートします。

消灯する前にピクリと動いてもペナルティとなりますので注意しましょう!

シグナルが消えるとクラッチを繋いで発進します。

この時エンジンの回転が高すぎた状態で、クラッチをいきなり繋ぐとバイクがウイリーしてしまうため、半クラを上手く使うのがポイントです。

クラッチを全て繋げたら、あとはアクセルを全開にしてギアをシフトアップしていきます。

また、スタート後の1コーナーを通過するときのギアは何速がいいのかを覚えておくと、1コーナーもスムーズに脱出できるでしょう。

2.ルマン式のスタート方法

ルマン式のスタートは、補助の人がバイクを後ろで支える必要があります。また、ギアを1速に入れた状態でエンジンを切っておきます。

そうすれば、ライダーはバイクに跨った瞬間にクラッチを切ってスタートスイッチを押しただけですぐに発進することができます。

また、補助の人はバイクに跨る時に顔を蹴られないように注意しましょう!

スタートを成功させるポイントは回転数とリアブレーキ

スタートのコツはいろいろありますが、結局のところ慣れの部分が大きかったり、人によってやり方が違たりします。

そこで、以下の次の2つのポイントだけはしっかり押さえておきましょう!

  1. エンジンの回転数
  2. リアブレーキで押さえておく

順に解説しますね!

1.排気量によって適切なエンジンの回転数が違う

スタートするエンジンの回転数は、バイクの排気量によって大きく違ってきます。

基本的に、

  • 排気量が小さい・・・高回転
  • 排気量が大きい・・・低回転

の方がいいでしょう。

排気量が小さいバイクはトルクが無いため、エンジンの回転を高くして馬力でカバーする感じです。

反対に排気量が大きいバイクは トルクがあるため、回転を高くしなくても問題ありません。

それどころか、高回転にすればウイリーしてしまう可能性があるのでやりすぎは注意です!

実際にロードレースでのスタートを見てみると、

  • 600ccのバイク・・・8000回転
  • 1000ccのバイク・・・4000回転

と、かなり差がありますね!

600ccのバイクだと8000回転くらいでクラッチをつなぎますが、150kg以上の車重に対してエンジンパワーが追いついていませんので、半クラを多用しながら高回転をキープしていきます。

そして、徐々にスピードが乗ってきたところでクラッチを全て繋ぎます。

対して1000ccのバイクだとと低回転でもトルクがあるため、クラッチをパッと繋いでもエンストせずにバイクが進んでいきます。

あとは低回転のトルクでガンガン加速していく感じですね。

もし高回転だと、クラッチを繋いだ時にエンジンのパワーが大きすぎてウイリーしてしまい、その間加速ができなくなります。

まとめると、

  • 600ccくらいまではエンジンをガンガン回して馬力で押す
  • 1000ccクラスだと低回転からのトルクをで押す

と言った感じになりますね!

2.リアブレーキで抑えていると自然な形でスタートできる

リアブレーキをかけている

クラッチを切ってエンジンを回しているときは、ブレーキでバイクが勝手に進まないように抑えておく必要がありますが、フロントブレーキとリアブレーキどちらを利用していますか?

スタート時は、リアブレーキを使うことをおすすめします。

なぜなら、フロントブレーキをかけていると、バイクに駆動がかかった時にフロントサスペンションが縮んでしまうため、パッとブレーキを離したタイミングと加速力でフロントが上がりやすくなるためです。

リアブレーキを踏んでいれば、フロントサスペンションを縮ませる心配はありません!

さらに、駆動側のチェーンが引っ張りリアサスは伸びることで、その分前傾姿勢になり、よりフロントが上がるのを防いでくれます。

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バイクレースでスタートダッシュを決めるための5つのコツ

スタートダッシュをうまく決めるコツは次の5つにまとめられます!

  1. エンジンの回転数をむやみに上げない
  2. 半クラはあまり多用しない
  3. クラッチを少し繋いでおく
  4. シグナルが消えるタイミングを事前に確認する
  5. スタート地点の傾斜にも注意

筆者もレースの実践で注意しているポイントですので要チェックです!

①エンジンの回転数をむやみに上げない

レースは気合が入っているからといって、エンジンの回転数はむやみに上げないようにしましょう!

スタートで一番もったいないのは、フロントが上がって一瞬でもスロットルを閉じてしまうことです。

回転数が上がっている時にクラッチをパッと繋げば、ウイリーする可能性が非常に高くなります。

このスロットルを一瞬戻す操作が加わると、「ロスしてしまった…」と気持ち的にもマイナスになってしまいます。

特に、決勝レースでは気持ちも高まっているため、スタート時の回転数も普段より高めの傾向があります。

そのため、本番こそ深呼吸して、タコメーターをしっかり確認する癖を身につけましょう!

②半クラはあまり多用しない

バイクが静止している状態から最大の加速に持っていくスタートはクラッチにも大きな負担がかかります。

特にビッグバイクだとパワーもハンパではなく、いつまでも半クラしたままだと数回スタートしただけでクラッチがすり減ってしまうことも。

クラッチが減ってしまったらバイクが発進することもできません。

特に全日本などのレースでは激しくクラッチを使うため、レース毎にクラッチを新品に交換するほどです!

③シグナル消灯前にクラッチを少し繋いでおく

スタート時はシグナルが消灯してからクラッチを繋いでいてはワンテンポ遅れてしまうため、半クラで少し繫いでおきましょう。

もちろんシグナルが消えるまでに動いてしまうとペナルティになりますが、その分リアブレーキを踏んでおけば勝手に進むのを押さえることができます。

そうすると、シグナル消灯とともにリアブレーキを離すと「スッ」とバイクが進み始めます。

コツは、クラッチを徐々に繫いでいき、タコメーターを見てエンジン回転数が若干落ちるポイントを見つけます。

また、リアサスが伸びれてこれば、タイヤに駆動がかかっている証拠です。

ただし、間違って少しでもバイクが進んでしまえばペナルティとなりますので、本番前に何度か練習して感覚をつかんでおきましょう!

④シグナルが消えるタイミングを事前に確認する

シグナルは点灯してから3〜5秒の間、どのタイミングで消灯するのかわかりません。また、いきなりパッと消えるため、慣れていないと焦ることも。

そのため、他のレースがある時はスタートのシグナルを見てイメージトレーニングしておきましょう。

イメージトレーニングは全日本選手権だけでなく、MOTO-GPライダーも行なっています!

⑤スタート地点の傾斜にも注意

スタートする場所の傾斜のことも考えておきましょう!

例えば、

  • 鈴鹿サーキット・スポーツランドSUGO・・・下り傾斜
  • 鈴鹿サーキット西コース・・・上り傾斜

となっています。

下り傾斜の場合はほとんど問題ありませんが、上り傾斜だといつもより抵抗があるため、その分パワーをかけないと失速してしまいます。

また、フロントが浮きやすい姿勢のため簡単にウイリーしてしまう難しさもあります。

そのため、自分のスタートする位置の傾斜がどうなっているか確認しておきましょう。

スタートシーンの失敗例と成功例を動画で解説

実際のレースでのスタートシーンの失敗例と成功例を動画でご紹介します。

動画内で出てくるバイクは600ccのバイクですが、最後には1000ccのスタートもご紹介していますので、参考にしてみてください!

まとめ

レースのスタート用法は、

  • グリッドスタート
  • ルマン式スタート
  • ピットスタート

と3種類あり、それぞれ方法が違います。

また、スタートのやり方は人それぞれ違いますが、押さえておきたいポイントもいくつかあります。

スタートはレースの醍醐味で、最も重要なシーンの一つでもあるため、今回ご紹介した方法を参考に、少しでも上手くできるようになればよりバイクレースが楽しくなること間違いなしです!

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