バイク同士がすれ違う時、スッ、とピースサインをされたことがありませんか?
特に初心者の時などは、いきなり知らないライダーからピースされたと驚いたかもしれません。
実はあれ、「ヤエー」と呼ばれるライダー同士の挨拶のことなんです。
今回は、そのヤエーについて解説してみます。ヤエーの意味、やり方を知っておけば、モヤモヤした疑問がスッキリと晴れるでしょう!
- ヤエーを知るメリットは、やり方を知ることで正しいヤエーができる
- 安全に知らないライダーと挨拶が交わせる
- やらなければならないの?その意味は?という疑問が解消
- ヤエーの注意点について知ることができる
ということではないでしょうか?
そこで本記事を読んで、ヤエーについて完璧におぼえてしまいましょう!
ヤエーとはバイク乗りで交わす挨拶のこと!
ヤエーとは、バイク乗りどうしで交わす挨拶のことを言います。バイク乗りなら一度はされたことがあるのではないでしょうか?
特に見晴らしのいいツーリング先などで頻繁に行われます。
ヤエーは基本的には挨拶ですので深い意味はありません。
でも知らない人と挨拶するのって気持ちがいいもの。特に天気が良いツーリング先などでは、テンションが上がってついやってしまいます。
「今日は最高だね!」ぐらいの意味を込めてヤエーをしてみると、「そうだね!」っていう感じでヤエーが帰ってきます!その「繋がってる感」が最高にヤエーなんですww
また、「お互いの安全を願う」意味でヤエーをする人もいます。どちらにせよバイク乗りなら安全にライディングを楽しみたいですからね!
「ヤエー」と呼ばれるようになったワケ
このヤエー、かつては人差し指と中指で作るピースサインだったのです。
時代は日本が空前のバイクブームに沸いていた1980年代にさかのぼります。インターネットもスマホもない時代、16才から18才ぐらいの男子の一番の関心事はバイクでした。ホンダとヤマハは飽くなき新車開発競争を繰り広げ、それに続くスズキとカワサキ。
ほとんどの若者は、週末になるとバイクに乗って近くの峠へ走りに行ったり、ツーリングに行ったりするのが日常でした。ただし大型自動二輪免許はいわゆる一発試験でしか取得できず、彼らの関心は中型(今で言う普通二輪)クラスに向いていました。
今よりもはるかに多くのバイクが走っていたその頃、ツーリング先でライダーは、すれ違う瞬間に左手をグリップから離して右顎のあたりまでに持ってきて、相手からよく見えるようにピースサインを出していましたー
これがヤエーの始まりと言えるでしょう。
そしてヤエーが生まれたもう一つの理由は、英語のスペル違いだった!?
英語の掛け声で、イエィ!(Yeah!)ってあるじゃないですか。
それのスペルをミスった人が、
「Yeah!」→「Yaeh!」
って書いてしまい、「それ、イエィじゃなくてヤエーじゃん」とツッコミが入ったことから始まったんです。
いわば失敗から生まれた意味のない言葉なんですけど、それがバイク乗りの間で定着してしまいました。
近年はネット文化が広まり、それまでバイク乗り同士でピースサインを出し合って挨拶していたのですが、すべて「ヤエー」という呼び方で統一された感があります。
そうやって考えるとヤエーって言う言葉は最近流行ったものなんですね!
ですので、やや年代が上の人には「ヤエー」では通じないことがほとんどで、「ピースサイン」のままなんですよね。年配のライダーに会ったら聞いてみると面白いかもしれませんよ!
ヤエーはピース以外でも問題なし
かつてレーサーやジャーナリストとして活躍した女性ライダーがいました。彼女の名前は「堀ひろ子」。彼女には「オートバイからVサイン」という著書があります。
本の内容は彼女が海外ツーリングをしたときの話ですが、本のタイトルになっているぐらい、Vサインはライダーにとってひとつのスタイルとして確立されていたと言えます。
しかしこのVサインあるいはピースサイン、今では必ずしもそうではなくなっています。
片手を上げたり、手を振ったり、会釈したりと、形態は様々です。型にはまったVサインより、自由な形で挨拶する今のほうがバイクらしいと言えるのではないでしょうか。
また、手を顎のあたりに持ってくるのは、太陽が背景にあったりウェアの色が同色だったりすると意外に相手からは見えにくいものです。
かえって手を高く上げたり振ったりするほうが、相手からはずっと認識されやすいと言えます。
ヤエーは義務ではないからやらなくても問題ナシ!
対向車線にいるライダーに気付かないで、突然ヤエーされると、「あ!しまった!返さないと」と思うことがあります。
しかしこれは気にしない方が良いでしょう。
なぜならヤエーは挨拶ですが義務ではありません。路上で大切なのは余裕を持ったライディング。
ヤエーをする人も、必ず返ってくるとは思っていませんので、余裕があるときだけヤエーを返すようにしましょう。
繰り返しますがヤエーは義務ではありません。
「天気が良くてバイクが気持ち良い!」
「気分が最高!」
そんな時に運転に余裕があればヤエーをしてみましょう!
いまどきヤエーはうざいという考え方もある?
ヤエーは片手を放しながら行うため、余裕をもって行えば危険はほとんどありません。しかしお世辞にも安全とは言えないんですよね。
もちろんライダーそれぞれの考え方なのですが「安全性を犠牲にする行為は絶対にしてはいけない!」と考える人もいます。
それも正論ですので、ヤエーをする人・ヤエーをしない人はケンカしないようにしましょうね!
さらにヤエーはツーリングスポットに行けば頻繁に行われますので、しょっちゅう手を上げるのも疲れてきます。
そのため「うざい」「面倒くさい」と感じる人も少なからずいます。くれぐれもヤエーは人に押し付けるものではないことを覚えておいてください。
ヤエーのやり方
ヤエーには正しいやり方が存在しませんが、通常は右手を上げてピースサインを作ること。
この際アクセルから手を放すので、クラッチを切りながらの片手走行になります。それが苦手なら写真のように左手でも大丈夫。でもくれぐれも安全には注意してくださいね。
余裕がある時、できるときにやるのが正しいヤエーですからね!
ヤエーは自動車学校ではどう教えているか?
まず自動車学校では、ヤエーを推奨していません。理由は簡単。片手をハンドルから離すのが危険だからです。
ヤエーに適しているのは、天気のいい日の、見晴らしのいい直線です。何故かと言うと、ヤエーをするときには一瞬ですが相手のライダーに気が取られてしまいます。
それが自動車学校で教える危険でもあるわけですから、尚更教えるわけにはいきませんよね!
そうした危険がない道路状況でこそ、相手に手を上げたり振ったりする動作ができるというわけです。
ヤエーはピース以外でも全然問題ナシ!
ヤエーはもともとあったピースサインをしあう文化が変化したものです。ですので、ピースサインがヤエーというのは間違いありません。
ですが「お互い安全に走ろうね」という程度の意味を込めた挨拶ですので、必ずピースでなければいけない訳ではありません。手をひょいっと上げるだけでも、十分ヤエーです。
ポイントは安全に注意してやりすぎないこと。その悪い例として、過去にヤエーで炎上したライダーがいたんです。
過去にヤエーを脚でして勘違いから炎上した人も
ヤエーはやり方を間違えると危険。その代表とも言えるのが、脚でヤエーをしたライダーがいたことが考えられます。
本人はその様子をYouTubeに投稿したのですが、あまりに危険な行為に非難が殺到。大炎上引き起こしたのです!
さすがにマネする人はいないと思いますが、動画では脚を対向車に向かって蹴る動作をしていたんですよね…!(された方も迷惑・・・)
こちらの動画はすでに削除されていますが、対向車のバイクがUターンして戻ってきて、きついお灸を据えられます。
余談ですが、サーキット走行のシーンでもコースインやピットインの時にハンドサインを行いますが、脚でサインをしている人も半分くらいはいるんですよね。
厳密に言えば手でサインを行わなければいけませんが、サーキット走行は「とりあえず周りがわかれば良い」という暗黙の了解もあるようです…!
ヤエーをする時に気を付けること
ここからは、ヤエーするときに注意するポイントや気を付けることや、ヤエー以外のハンドサインについてお話しします。知っておくといろいろ便利ですよ!
ヤエーは右手というのはなぜか
ピースサインが生まれた外国では、右側走行が多くすれ違うのは左側。そのため左手でハンドサインをだしていました。
日本では、すれ違うのが右側なので、右手でヤエーをするのは、相手に見えやすいようにという考え方です。
しかしクラッチを握ってアクセルから手を離すのは、多少のリスクがあるので注意してください。
繰り返しますが、右手でヤエーをするのが苦手だったら決して無理せず左手で行きましょう。実際にヤエーをしている光景を見てみると、大半のライダーは左手でやっていることが多いようです。
ヤエーが返ってこない時
ヤエーをされると返ってくるのを期待してしまうもの。
しかし中々返ってこないこともありますので、その場合は以下のようなポイントに注意してみてください。
相手から見えない
ヤエーをしているところが相手から見えない場合。このような場合は、見通しの良い直線で、車から隠れないくらいの車間距離をとりましょう。
アイコンタクトをして3秒ほど時間を置くのが効果的ですよ。
ツーリングスポットではない
ライダーではなく、通勤途中の人にヤエーをしても通じることはないでしょう。むしろ「うざっ!コイツ!」と思われるかもしれませんので、やるべき人を見極めましょう。
ヤエーを返して欲しいのはわかりますが、そこはなりふり構わずではなく、状況を判断する心の余裕が必要です。
相手に余裕がない
バイクに乗る理由や、経験年数なんて人それぞれ。ヤエーをされても返す余裕がない人もいますので、気にしないようにしましょう。慌ててヤエーを返されて転倒されても困りますからね!
ヤエーの聖地
ヤエーは街では返ってこないとこがほとんど。安全性の為にもやらない方が良い場合がありますので、ツーリング先でヤエーをすることをおすすめします。
特に国道413号、道志街道はヤエーの聖地として非常に有名!ヤエーがやりたいならココに行くといいですよ!
他にも阿蘇くじゅうや北海道など、ツーリング先として有名なスポットではヤエーをやる人が多く、返ってくる確率も高いです。
ヤエーはチャリダーにしてもいいの?
ツーリング先では自転車乗りの人ともすれ違うはず。この時「チャリダーにヤエーはしてのいいの?」と疑問に思うかもしれません。
チャリダー・・・すべての自転車乗りに捧げる敬意の言葉だそうです
旅を楽しんでいるチャリダーにならヤエーはしても大丈夫です!きっと「元気が出る!」と喜んでくれるでしょう。
同じ2輪で公道を走る者同士「安全に楽しもう!」とヤエーのサインを送るのは良いことです!
ヤエー以外にもある!ハンドサインをおさらいしておきましょう
ピースサインを出す以外にもバイクのハンドサインは存在します。せっかくなのでおさらいしておきましょう。
ハンドサインは左手で行うのが基本です。
サムズアップ
道を譲ってもらったら、親指をぐっと立ててサムズアップすると「ありがとう」の意味になります。
手刀をあげる
車にすり抜けなどをさせてもらったら、手刀をあげて感謝を伝えます。
タンクを指さす
ガソリンが無くなってきた時に仲間にガス欠を伝えるサインです。次のガソリンスタンドに寄って欲しいと言う意味があります。
手ひらを下に向ける
スピード落とせのサインです。対向車などがこれをしてきたら、この先に危険物や取り締まりがあるという意味になります。
手をグーパーする
仲間に「ウインカーがつきっぱなしだよ!」と伝えるサインです。手でパカパカとウインカーのジェスチャーをするということですね。
ヤエーのステッカー「ヤエステ」なるものも存在する!
引用:https://yaeh-sticker.com/・https://lifewithmotorcycles.com/archives/226
ヤエーには「ヤエステ」と呼ばれるステッカーが存在します。それは売られているわけではなく、有志によってデザイン、配布されているので、ツーリングで訪れた記念品として探してみるのもオススメです。
ちなみに「ヤエステ」は全国のお店で配布されています。
ちなみにヤエステの配布会はオフ会とも呼ばれ、ライダー仲間を増やすにはうってつけですよ。
そのためどうしても欲しいけど配布会に行けないのならば、自分で作ってしまうなんてことも可能です。
ステッカーのサンプルはこちらのサイトに掲載されています。いくつかのパターンがありますので、お気に入りのものを選んでシールメーカーで作成すればあっという間に作成できます。
もちろん自分だけのオリジナルステッカーを作っても構いません!オリジナルデザインのヤエステを作って配布会に行くと人気者になれるかもしれませんね!
まとめ
ヤエーについてまとめてみました。バイクブームと共にピースサインを交わす行為が消え、反対にヤエーとして復活したのはとっても良いことだと思います。
それでも強要するわけではなく、あくまでライダー仲間であることを確認しあうような挨拶に過ぎないのもまた良いところでもありますよね!
また、「ご安全に」という意味もあるヤエーをするために、安全を犠牲にしないようにもしましょう。
ヤエーをするときの注意点をもう一度まとめておきます。
- 余裕をもって安全に行う
- 返ってこなくても気にしない
- ピースでなくても大丈夫
それでは、皆さんも安全に楽しくバイクに乗りましょうね。ヤエー!!