バイクの車体を覆うように装着されているフェアリングは、バイクの走行性能を向上させるだけでなく、ライダーの安全も守り重要な役割を担っています。
しかし世の中には元々フェアリングが無いバイクも存在しますし「カウル」という名前のものも存在します。
そこで思うのが、
- フェアリングの役割とは?
- カウルとの違いは?
- どんな種類があるの?
などではないでしょうか。
そこで本記事では、そのような疑問を解決できるように、フェアリングの意味や役割、カウルとの違いや、おすすめのメーカーなどをご紹介していきます。
バイクのフェアリング(カウル)の役割・効果
フェアリングとは、主にバイク前方や側面など装着されたカバーのような部品です。
主に合成樹脂やFRP、カーボンなどで作られており、軽量で強固、かつ柔軟性が高い特徴があります。
フェアリングは走行風を整流する役割があります。
バイクに当たる風を受け流すように後ろに流すことで空気抵抗を減らし、車体の安定性を向上させます。
それ以外にも、ライダーに風が当たることを防いでくれますので、防風効果もあります。
走行風はライダーの体温を奪うだけではなく、風切り音がライダーの負担をさらに促進させるなどの悪影響があります。
そのため、フェアリングはライダーを護るものとも言えるのではないでしょうか。
また、フェアリングはバイクの外観面に直結する部品ですので、ドレスアップアイテムとしての役割も担っています。
様々な形状やカラーリングが施されているフェアリングは、装着しているバイクイメージ作りに直結するため、非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
※最近ではアッパーカウルに「ウイングレット」と呼ばれるスポイラーのようなものが取り付けられているバイクも増えてきました。このおかげでダウンフォースが得られるようになり、加速時のフロントアップ抑制や安定感向上効果が増すようになりました。
フェアリングとカウルはどう違うのか
さて、ここまで「フェアリング」と表現させていただきましたが、同じような部品に「カウル」というものがあります。この違いは一何なのでしょうか。
実はフェアリングとカウルは、呼び名が違うだけで同じ部品を表します。
そうはいっても、どうしてもこの2つの言葉の違いが気になるところ。もともと英語読みであるこの言葉を日本語に訳してみると、
- フェアリング(Fairing)・・・整形する
- カウル(cowl・cowling)・・・僧侶などが被るフード付きのマント
となります。
訳してみると意味は異なるものの、これを所謂バイクの部品としてのフェアリング・カウルに当てはめてみるとどちらも意味としては通ずるものがあると思います。
そう考えると、やはりどちらで呼んでも良いのではないかと言う結論になります。
巷ではどちらの方が使われているのかと言うと「カウル」の方でないでしょうか。
部分によって以下のように分けられて呼ばれることもあります。
- 前方・・・アッパーカウル
- 側面・・・サイドカウル
- 下部・・・アンダーカウル
- 後方・・・テールカウル
ただし、あくまで感覚的ですが、ヘッドライトやハンドル周りに装着する防風目的の高いものは「フェアリング」と呼ばれることが多く、それ以外は「カウル」と呼ばれることが多いような気がします。
それと、ハーレーは「フェアリング」と呼ばれているようにも思います。
バイクのフェアリング(カウル)の種類
フェアリング(カウル)の種類は、次の3つに分けられます。
- フルカウル
- ハーフカウル
- ビキニカウル
①フルカウル
先ほどご紹介した「アッパーカウル」「サイドカウル」「アンダーカウル」「テール(シート)カウル」を全て装着した状態です。
レーシングバイクのほとんどがフルカウルと言えるでしょう。
フルカウルはバイクの車体全体を覆うため、空気の整流効果が最も大きくなります。
そのおかげで車体の高速安定性が向上することに加え、空気抵抗が減るため加速力の向上や最高速アップなどのメリットがあります。
反対に、デメリットとしてカウルの重さの分だけ重量が増加するため、低速でも切り返しやゼロ加速などに影響を与えてしまいます。
②ハーフカウル
ヘッドライト周りやハンドル周り、バイクの前方に限定して装着するタイプのカウルです。
一部のレーシングバイクやネイキッドバイクなどに多く採用されていますので、エンジンやフレームなどのデザインを隠さず、尚且つ空気抵抗を減らしたいなどの要求に応えたタイプのカウルと言えるでしょう。
③ビキニカウル
ハーフカウルよりさらに小型のものがビキニカウルとなります。
ヘッドライトに覆い被せてメーター上部にスクリーンを付けるくらいのもので、デザイン性を損なわないのが特徴です。
一見すると他のカウルと比べて頼りないように見えるかもしれませんが、ライダーへの防風効果はしっかりあります。
車体の安定性向上など走行に直接影響を与えるものではありませんが、走行風による高れ防止効果はかなり高いと言えるでしょう。
フェアリング(カウル)のメンテナンス
構造上風を受ける部品ですので、飛石や虫、雨や泥など様々なものが接触します。
そのため、洗車時はまず泥や虫など水で落ちるものを落としていきます。
その次に、水で落ち切らなかった汚れをパーツクリーナーを使って磨いていきましょう。
簡単な傷や割れであればFRPの補修剤やプラスチック用の接着剤を使って補修します。
また、カウルを取り外す際は周辺部品を傷付けないよように注意しましょう。
バイクのフェアリング(カウル)は自作・修理できるのか
結論から言うと、フェアリング(カウル)は自作しようと思えばできます。ただし複雑な形状のものを作ろうと思うと、相当の技術が必要になります。
最も簡単なのが、FRPと呼ばれる繊維強化プラスチックを使って整形する方法です。
ファイバーと呼ばれるプラスチック繊維は柔らかいですし、硬化剤も液状ですので、整形には型が必要です。
また、FRPは割れたカウルを補修する際には適しています。
割れた部分の裏面を紙やすりで簡単に慣らし、その上にファイバーと硬化剤を塗って乾燥させれば、すぐに補修が完了します。
フェアリング(カウル)を販売しているおすすめメーカー
フェアリング(カウル)を販売しているおすすめのメーカーをご紹介します。
ちなみに販売店によっては「フルカウルキット」や「フェアリングキット」と、若干言葉の違いがありますが、単に販売者や出品者のが「フェアリング」と呼ぶか「カウル」と呼ぶかの違いですので、同じ意味と捉えて大丈夫です。
エーテック
エーテックではレース用・ストリート用問わず、オリジナルのカウルを販売しています。
ドレスアップ効果が高く、種類によってはドライカーボン製のカウルも販売されています。
ストリート用のカウルは取り付け穴やステーなどが付けられていますので、そのまま装着することができます。
キタコ
キタコはミニバイクなど比較的小型のバイクのパーツを販売しているメーカーです。
精度が高いものばかりで装着しやすいカウルが多いため、信頼できる製品を求めるミニバイク乗りにおすすめと言えるでしょう。
KDCサービス
レーシングカウルを製作・販売しているメーカーです。
サーキットを走るレーサーバイクのほとんど全てのカウルを取り扱っており、他メーカーより安くて頑丈なのが特徴です。
サーキットがある鈴鹿に工場を構えており、職人さんが一つ一つ手作業で作っています。
社長さんのドカティ好きが興じて、ドカティのカウルがたくさん販売されているのもポイント。
サーキット走行をする人は、ぜひ一度ラインナップを見ていただきたいですね。
まとめ
バイクのフェアリング(カウル)は、
- 車体の走行性能向上
- ライダーの疲労軽減
- 車体のドレスアップ効果
などがあるため、非常に重要な部品だと言えます。
もちろん元々カウルが無いバイクもたくさんあるので絶対に必要だとは言い切れません。
しかし汎用のカウルも販売されていますので、装着されていなかったバイクを所有している方も、どこかの機会で新たに装着してみるのも良いかもしれませんね。