スーパーカーやカスタムされた車のリアタイヤを見てみると、稀にリアキャリパーが2個ついてるものがあります。
ホイールの隙間から覗く2個のキャリパーは、見た目のインパクトも大きく、いかにも良く止まりそうなイメージを持つのではないでしょうか。
このキャリパーが2個付いた状態のことをダブルキャリパー(ツインキャリパー)と呼びます。
しかし、6ポッドピストンや大容量ピストンなど、キャリパーのピストンでブレーキの性能を調整するのがメジャーであるため、ダブルキャリパー(ツインキャリパー)の車はほとんど見かけないのも事実。どのような効果があるのでしょうか。
ここでは、ダブルキャリパー(ツインキャリパー)を装着する理由に付いてご紹介していきます。
キャリパーが2個付いているのは”パーキングブレーキ”として
見た目的にも大きな制動力が得られそうなダブルキャリパー(ツインキャリパー)ですが、ほとんどの場合、独立したパーキングブレーキ機構として取り付けられているのです。
最近の車は電動パーキングブレーキが主流となっていますが、キットの大容量ブレーキキャリパーは電動パーキング機構に対応していないものがほとんど。
そのため、既存のブレーキをパーキングブレーキとして反対側に移設し、大容量キャリパーを取り付けるという選択をしているのです。
リアブレーキキャリパーにパーキングブレーキの機構が設けられている車種であれば、ワイヤーによるパーキングブレーキ機構のみを残し、もともと付いていたブレーキラインを新規で取り付けるキャリパーと共に取り付けていきます。
もともと純正キャリパーがあったところに新規で大容量のビックキャリパーを取り付け、反対側に専用のブラケットを利用してパーキングブレーキ用を取り付けていくというわけです。
ダブルキャリパー(ツインキャリパー)の車をあまり見かけない理由
フロントブレーキは大容量ピストンなどのキットパーツが販売されていることが多いのですが、なぜリアブレーキャリパーのキットはほとんど見かけないのかというと、以下のような理由が考えられます。
- リアブレーキの制動力は純正レベルで問題ない
- 電動パーキングブレーキ機構に対応していないキャリパーが多い
ブレーキをかけると構造上フロントに重心が移動するため、リアブレーキが強すぎると、スリップする危険があります。そう考えると、リアブレーキの制動力は”そこそこ”で十分なのです。
また、カスタム用のリアキャリパーを作る際、電動パーキングに対応している構造にしなければいけないため、開発コストもかかるというデメリットもあるのです。
ドレスアップ効果を狙ってダブルキャリパー(ツインキャリパー)化することもある
カスタムカーの中には、ドレスアップ効果を狙ってあえてリアブレーキをダブルキャリパー(ツインキャリパー)化することもあるようです。
蛍光色のカラーリングに仕上げればホイールの間から覗くキャリパーの存在感のおかげで、足回りの存在感を出すことができます。
ダブルキャリパー(ツインキャリパー)化する時の注意点
もちろんパーキングブレーキと言えどもローターに大きな負荷がかかるため、ブラケットは専用に設計されたものを使用しなければ大変危険です。
ブラケットと共にパーキングブレーキキャリパーが販売されているものを購入する必要があります。
また、ホイールのサイズによってはキャリパーが干渉してしまうこともあるため、事前にクリアランスを確認しておく必要があります。
ショップによってはクリアランスを確認してくれるところもありますので、購入先に相談することをおすすめします。
車検対応のダブルキャリパー(ツインキャリパー)も販売されている
ダブルキャリパー(ツインキャリパー)化することにより「車検を通すことは可能なのか」という疑問も思い浮かぶのではないでしょうか。
ものによっては車検に対応していないものも存在しますが、ブレーキラインなどの固定方法を純正と同じようにすることで、車検に通すことができるように設計されているカスタムパーツも販売されています。
車検に対応しているものは【車検対応】と書かれているはずですので、購入時に確認するようにしましょう。
まとめ
ダブルキャリパー(ツインキャリパー)は、制動力を上げるために装着されているものではなく、あくまでパーキングブレーキが併設されている状態であるからです。
しかし、ドレスアップパーツとして考えてみると、足回りの存在感をしっかり引き立ててくれるものとしても考えられます。
もちろん車のリアブレーキ機構はそう目立つものではありませんので、はっきり見る人は多くないかもしれません。
しかし、スポークが細いホイールを装着し、ちらりと覗かせる2つのブレーキキャリパーのおかげで、かなりワイルドに見えるのではないでしょうか。