サーキット走行

レースのネガティブな部分にまじめに向き合っておく

「来年の8耐を目指すかもしれない」

そういったときに、両親は一瞬声をつまらせました。

「またやるの…?」

母親が不安げに出した一言がなんとなく耳に残っていたものの、特に僕はいつものどこ吹く風の感じで能登に引っ越しました。

2.数日後、何気ない会話でこんなことを耳にします

今度鈴鹿で来年乗るバイクのテスト走行をするという話をしたときに

「えぇ〜っ!だって死ぬかもしれないじゃないですか?」

その時は「あぁ、やっぱそう思うよな〜」という感覚だった。

3.そして後日サーキットでの良くない知らせを聞いた

そんなことが重なって、少しレースから遠ざかっていた自分が改めて考えてみました。

レースをしていた時はただ続けることに必死で「しょうがない」と思って目を背けていたかもしれない。

ただ、もう一度サーキットに戻ろうとしている自分が改めて考えなければいけない気がしたから、ぼくの気持ちを再認識するために書いておこうと思います。

もしこれから頑張ってレースしてみよっかと思う人がいれば、ちょっとだけ目を通してほしいです。

「危険なこと」とも認識できるレースについて。

レースにおけるネガティブな印象

レースのネガティブな印象は

・お金がかかる
・危ない

だと思います。

それに対するぼくの考えは

「たしかに…!(深く頷く)」

でも、ネガティブな部分に対してぼくなりの考えをご紹介します。

お金は大事。でもおかねじゃないんだよ

レースは確かにお金がかかります。そのために心身を削ることなんて日常茶飯事です。

ときどき「おれは金の亡者か!?」って錯覚することもあります。

でもお金について深く考えてみると「お金」じゃないということが見えてきます。

「お金=信頼」に当てはめる

特に大きなレースに出ようとすると、どんどん要求されるものが増えてきます。

もちろん技術的にも必要ですが、突き詰めていくとレースは道具を使うスポーツのため、どうしても以下のものが揃えられるところが有利になります。

・いいバイク
・いい部品
・新品タイヤ
・たくさん練習する資金  etc…

これ、実は全部お金で解決できちゃいます。全て。だからお金が使えるレーサーはどんどん速くなれます。

夢も希望もないこといってすみません。でも考えてみてください。技術や根性なんてあるのが当たり前のレベルで次にできることは「環境づくり」です。

そこで「お金=信頼」に置き換えてみると、

お金がたくさん集まるライダーはたくさん信頼を持っていると考えることができますよね。レースで結果を残すのはもちろんのこと、人間として信頼されるライダーの周りには自然とお金というかたちでライダーに集まります。

しかも信頼されているライダーはブレない信念を持っているためさらに愚直に努力して速くなれると考えられます。

それがレースの突き詰めていった世界です。

それぞれに決めた目標と戦っている

お金がないライダーは速くなれないの?と思うかもしれませんが、決してそうではありません。上記のライダーは本当に一部分で、チャンスなんていくらでも作り出すことができます。

華やかに見せるために泥臭くやっている

また、ライダーはそれぞれ目標を決めて、なんとかそれを達成しようと努力しています。

・レースで〇〇位以内
・〇〇に勝つ
・目標タイムを更新する

などなど本当にさまざま。

だいたい、いや、ほとんどのライダーが目標と戦っています。

しかもそれを達成しようと普段は泥臭く準備をしています。

だから、そういう背景もあるんだと考えながらレースを見てもらいたいと勝手に思います。

しんどいから誰かに見てもらえないとやっていけない

レースって本気でやればやるほどしんどいんですよ。とにかくたくさんのプレッシャーがあるし、そんな中で結果出さないといけないし、そのためにトレーニングしないといけないし、お金かかるし….

誰かに応援されないとやっていけない競技なんですよ。ほんと。

「危ない」に対してレースをする人が必ずやらなければいけないこと

そしてぼくたちライダーがレースをするのなら必ずやらないといけないことがあります。

それは、

・怪我をしない努力
・死なない努力

です。

大切な自分を表現する「レース」で怪我をしてはいけません。なぜならそれがマイナスの表現となるから。

そうなると「バイクは危ないもの」という表現をしてしまいます。

たまにどんな怪我をした?とか聞かれることもあるのですが、おっきな怪我を言った瞬間にその人に対して「バイクレース=危険」と認識されかねないのです。ぼくもこれから気をつけます。

それにライダーでもレースから離れるとただの人間です。それぞれに家族がいたり、応援してくれる人がいます。そのような人の心配をかけてはいけないと純粋に思います。

でも、万が一の時もあります。

もうね、起こった時はしょうがないです。

起こった後はどうすることもできない….

でも起こる前だと少しでもリスクを減らす努力ができるから絶対にしてほしい。

今は装備などで安全に対してもたくさん考えられています。

普段のトレーニングだって怪我のリスクを下げる効果があります。練習で鍛錬した事によって反射的に万が一の事故を避けられるかもしれません。

だからサーキットを走る時はリスクを減らす努力を続けてください。

…ほんとそれだけ。

バイクレースは「自分を表現する大事なもの」だと気付いたぼくからのお願いです。

これから目指していくもの


これから目指すもの「8時間耐久ロードレース」は今までとは比べ物にならないくらいの人数で目標に向かって行きます。

ぼくは一つのチームの「ライダー」という仕事を担います。ぼくはライダーとしてチームの表現担当です。だからそれができるために準備して行きます。

だったら何が必要かわかるはず。

そうやって毎日を過ごしていこうと、あらためて思います。

※これは自分にプレッシャーをかける意味でもあり、同時に自分が折れそうな時に再認識するために書いたものでもあります。
レース関係者の方から見ると生意気なことをほざいているかもしれませんがお許しください。でも本心です。
この文章を読んで気分を害された方がいた場合、深くお詫び申し上げます。